視覚障がいの理解を深める疑似体験をしてみた【連載コラムvol.12(後編)】
(前編をご覧いただいていない方はこちらをクリック→前編を見る)
事務所を出ます。
廊下を歩いていきます。
「ボタンがどこにあるか分かりにくい…。」
「いつもの感覚で何とか分かりますが、ボタンに書いてある数字は近くで見てもほとんど分からないですね。」
「エレベーターのすき間にヒールが挟まりそうで怖い!」
「何とかコンビニまでたどり着きました~!」
※撮影にはお店の許可をいただいております。
「ん~サンドイッチというのは分かるけど、中身は全く分からない…。」
「値段が見えにくい…。」
「ここまで近づけてようやく何か分かる。」
「オムライスらしきお弁当なので、これにしようかな。」
「視野が狭いから、ぱっと見でお弁当に何が入っているか分からない…。」
「ん~たまごが入っているの分かるけど、あとはよく分からない。」
「たくさんある商品の中から選ぶのは、なかなかしんどいですね~。」
「お会計ですが、レジの画面に書いてある料金も見にくい…。」
「財布の中の小銭が見えなくて、手間取ってしまったため…」
「ササキッドに手伝ってもらいました。」
「財布の中身の一部分しか見えないから、小銭を探すのが大変・・・。面倒なのでお札で支払おうと思います。」
ミチネーは慣れているのか主婦魂が強いのか、Tポイントカードまでサラッと出していました(笑)
いろいろと困難でしたが、お昼ご飯を購入することができました!
事務所に戻り、待ちに待ったお昼御飯です。
「いただきまーす!」
「んー早く食べたいのに、お弁当の周りに付いているフィルムがよく見えないので、上手く開けることができない!」
「手元が見えないのでお弁当を目線まで持ち上げる方が上手く食べられそう。うーん・・・それでも一部しかみえないから何が入っているかよくわからないなぁ。見えないものをお箸でつかむのは難易度高すぎ・・・。」
「僕は全体像が見えるし、スプーンなので、さほど問題なく食べられますね。ただ、どんな具が入っているかはほぼ分かりません。」
「お弁当がまったく見えません。手でお弁当の位置を確認するしかないです。」
「もちろんフィルムの存在にも気付かず、かなり悪戦苦闘・・・。」
「自分の口元が見えないので、手でペットボトルの口元を確認しながら飲まないとこぼしそうです。」
「無事に食べ終わりました~!」
「皆さん、本日視覚障がいの疑似体験をしてみて、いかがでしたか?」
「普段の生活で、いかに視覚を頼りにしているのかを身を持って体験できました。何気なく使っているエレベーターや自動ドアの隙間も、見て確認して避けるという動きを無意識にしていたようです。
また、見えづらいので探す・選ぶといった作業がとても億劫に感じました。とくにお弁当は、似たようなパッケージで沢山並んでいるので、なんでもいいや・・・という気持ちになりましたね。
私はミチネーと関わることが多いので、視覚障がいについては結構知っているつもりでしたが、体験してみるとまだまだだなぁと痛感しました。」
「私の眼鏡は白く濁って見えているのですが、全体像は見えるので他の二人よりかは動きやすかったような気はします。しかし、小さい文字・ボールペンの黒と青の違い・小銭など細かい情報はかなり見えにくいので、細かい作業をするのは難しいですね。この視覚の状態が続くと、おおざっぱな性格になりそうです。」
「お弁当の時に感じたことですが、視覚からの情報がなくなるだけで何を食べているのかさえ分からなくなりました。普段、視覚からの情報を頼りに、生活しているのかというのを実感しました。こんなにも生活するのが難しくなるんだと身にしみて分かりました。」
「普段の目の使い方と違うのでとても疲れたのではないでしょうか。また、視界が悪い分、記憶したり予測したりするので、いつも以上に頭を使ったのではないかと思います。
今回の体験時間はわずか2時間程度で、体験したのは数ある視覚障がいの中の一部の症状でしたが、障がいの度合いや見え方についての理解は深まったのではないと思います。」
「はい、とても勉強になりました!」
視覚障がいの疑似体験ができるロービジョンメガネを使って気付いたこと
- 普段、当たり前に行っている動作の一つ一つが難しくなる
- 視覚障がいの種類によって見え方が異なるので、単に字を大きくすれば見えるという訳ではない
- 白背景で黒文字よりも黒背景で白文字の方が断然見やすい(スマートフォン等の画面も同様)
- 移動するだけでも、頭と気力をかなり使うので、非常に疲れる
- 買い物は出来ないことはないが、誰かの補助がないと非常に不安であり、あれこれ選んで決めたいという気持ちにもなりにくい
- いきなり肩を叩かれたり、突然目の前に現れるとびっくりしてしまうので、先に一声かけてほしい
- 視覚からの情報が少なくなる分、聴覚や触覚などその他の感覚が否が応でも敏感になる
今回は視覚障がいの疑似体験を行いましたが、視覚障がい者に限らずどのような相手に対しても、相手を知り、相手の気持ちに寄り添うことが大切であると言えます。
特に、医療サービスを提供するレイス治療院では、車椅子の方、麻痺をお持ちの方、認知症の方など様々な方がいらっしゃいます。そういった方々の気持ちに少しでも寄り添うために、疑似体験などで相手を知り、理解を深めていきながら、更なるサービス向上へと努めて参りたいと思います。
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