一日車椅子生活を体験してみました【連載コラムvol.6(後編)】
(前編をご覧いただいていない方はこちらをクリック→前編を見る)
午後からも張り切って仕事をしていきたいと思います!
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美白を保つために水分補給をしていたらお茶が切れてしまったので、お茶を買いに行こうと思います。
扉には
やはり挟まれます。まだコツが掴めません。
漕ぐのが辛過ぎて、なぜか笑えてきました。
明日は間違いなく両腕とも筋肉痛です。
なんとか自動販売機の前まで到着しました。
せいっ!
思わず意味不明な掛け声が出ました。
自動販売機の上段はなかなかの曲者です。
「自動販売機で飲み物を買う」という当たり前のことですが、無事にお茶が買えて妙にうれしいです。
引き続きデスクワークをこなしていきます。
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今度は、お手洗いに行きたくなってきました。
事務所を出て、
いつものお手洗いに向かいますが…
残念ながら、ここには車椅子専用のトイレはありませんでした。
今まで全く気付きませんでしたが、この10階のフロアには車椅子用のトイレはなく、あるのは、1、2、6、9階のみの様です。
仕方がないので、一つ下の階に移動します。
案内板を発見し、少し心が落ち着きました。
ようやく車椅子用トイレを発見しました。
想定していたよりも、はるかに長距離の移動と時間が掛かりました。
事務所の扉とは違い、スライドドアは快適です。
これほどまでにスライドドアに感謝した日はありません。
再び事務所に戻り、仕事を続けます。
毎日出る電話も、なぜか今日は歯切れが悪い気がします。
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就業時間の18時を回りました。
今日は色々と疲れたので、上司が席を外している隙に、定時でさっさと帰ろうと思います。
一人で電車に乗る勇気がなかったので、ササキッドに送ってもらうことにしました。
改札口も車椅子などが通りやすいように幅の広いところがあるんですね。
迷わず幅の広い改札口を選びました。
※駅構内での撮影は、許可をいただいています。
エレベーターでホームまで移動し、
電車が来るのを待ちます。
車椅子と介助者の立ち位置が前後のせいか、なんとなく会話しにくいですね。
ササキッドも心なしか元気がないような気がします。
もしかしたら、介助している私の事を面倒くさいと思っているのかも。
なぜかそんな邪念が頭をかすめます。
電車が来るまでの待ち時間、色々と妄想が膨らみました。
電車が到着し、必死で乗り込ませるササキッド。
いつも通り顔が赤くなっています。
今日はいつもと同じ毎日をただ車椅子で過ごしただけなのに、色々な気付きや学びがありました。
「視点を変えると、世界が変わって見える」とはまさにこのことですね。
降りるときはバックから。
車椅子での移動は、周りの視線もすごく気になります。
何かすごく迷惑をかけているような気になったり、物珍しそうな目で見られるので、結構なストレスを感じます。
エレベーターで改札口まで降ります。
何とか自宅付近の最寄り駅まで到着しました~!
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車椅子一日体験をして感じたこと
- 1人で移動するのは、体力的に大変。腕の力を使うことや、不安定な椅子に座ったままでいることは想像以上に疲れる。
- 出かける場合は周囲の協力が必要。自分自身とても疲れるので少しの距離でもおっくうになってしまう。
- 普段なにげなく使っている机やお手洗いなどに不便を感じる。特にお手洗いは、どこにあるかチェックしておく必要がある。
- 通路、ドア、小さな階段など通れない場所が格段に増える。車椅子だとストレスなく通れる場所はかなり少ない。また、車椅子でも通れる道を考えたとき、エレベーターやスロープを使用したりなど通常のルートよりも遠回りになるため、移動するときは時間の余裕を持っておかなければならない。
- 飲食店は入りづらく、行ったことのないお店に1人で入るのはハードルが高い。
- 前から人が来ても、避けることができない。相手が気づいていない場合、ぶつかる可能性が非情に高い。また、人混みだと周囲と視線の高さが違う為、ぎりぎりまで気付いてもらえない。車椅子に乗っている側も、どう進んでいいのかに悩む。
- 周囲からかなり視線を感じる。
車椅子を押してもらう場合
- 自分でスピード調整やルートを決めることができないので、特に初めは不安を感じる。
- 段差、少しの坂、でこぼこの道など、身体に負荷がかかる道は敏感になる。
- 押す人との距離があるため話づらい。また押してもらっているので、すこし怖くても言いづらく我慢してしまう。
いかがでしたでしょうか。
私はわずか一日だけの体験でしたが、車椅子生活は肉体的にも精神的にも疲弊します。
高齢により体力自体が落ちてしまっている方や、病気や骨折などで歩行が難しい方など、長期に渡って車椅子での生活を余儀なくされている方にかかる不安やストレスは、私たち健常者が思っているよりもはるかに大きいと思います。
今回の体験を機に、車椅子の方と接する際は、自分が感じたことをしっかりとカバーできるようにサポートしていきたいと思います。
このサイトの中でも、車椅子の押し方や移乗の仕方について解説しているページがありますので、そちらも是非ご覧ください。
https://leis.jp/kaigochishiki/wheelchair/
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