あん摩マッサージ指圧師はどんなところで働いているのか?それぞれの仕事内容や特徴について
あん摩・マッサージ・指圧などの手技を用いて、人の体の調子を整えたり、改善に導いたりする施術者または資格のことをあん摩マッサージ指圧師と言います。マッサージの種類は大きく分けて2つあり、1つはマッサージによって人に癒しを与えるリラクゼーションマッサージ、もう1つは筋麻痺の緩和・固まってしまった関節の動作改善などの医療マッサージです。ストレス社会や超高齢化社会の影響からあん摩マッサージ指圧師の必要性が高まっています。
そんなあん摩マッサージ指圧師が、どんなところで働いているのかを紹介していきます。
(あん摩マッサージ指圧師についてはこちらもご覧ください マッサージを行うための国家資格 あん摩マッサージ指圧師の紹介)
1.病院
主に整形外科で働いているあん摩マッサージ指圧師が多いです。マッサージを行う他、理学療法士・作業療法士と共にリハビリのサポートを行うこともあります。医療マッサージが必要な患者と出会いが多く、医療マッサージの経験を積みやすい環境にあります。
またマッサージは東洋医学的な側面が強いですが、他の病院スタッフは医師や理学療法士を始め西洋医学的な考えをする方が多いです。違う考えの人と一緒に働くことで成長出来る環境でもあります。
2.治療院、鍼灸院、整骨院
マッサージ治療院の他、鍼灸院、整骨院などでもマッサージを提供していることが多いです。これらの施設に来る方は何かしらの身体の不調を感じている方が多いです。腰痛・肩こり・筋肉痛・神経痛・冷え性などの症状に対して鍼灸師や柔道整復師と協力して、マッサージ・針灸・運動療法・電気療法などの治療方法から患者に最適な提案を行い、実行することが求められます。マッサージ治療院として独立開業するあん摩マッサージ指圧師も多いです。
3.訪問医療(利用者の自宅)
近年は在宅医療の充実が推進されており、マッサージもその一環を担っています。家庭に訪問してマッサージを行う場合も、殆どが医療目的のマッサージになります。脳梗塞の後遺症の筋麻痺、寝たきりによる諸症状(筋力低下、関節拘縮、むくみ)などに対してリハビリ目的やターミナルケア(終末期医療)としてマッサージを提供します。患者の最期まで関わり合うことや、家庭の中で行うことから強いつながりが生まれやすいです。大変な側面もありますがやりがいのある仕事です。
4.介護施設
介護施設の増加に合わせて、介護施設で働くマッサージ師も増えてきています。特別養護老人ホームやデイサービスには機能訓練指導員という職員が必要です。機能訓練指導員は誰でもなれるというわけではなく、次のうちどれかの国家資格を所持していなければなりません。
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
リハビリや体力向上といった施設利用者の希望に合わせ、トレーニングやマッサージの内容を考えて提供します。定期的に行われる体力測定も業務の一つです。
またあん摩マッサージ指圧師は5年以上の実務経験を積むとケアマネージャー(介護支援専門員)の受験資格を得ることができ、試験の一部が免除されるという特典もあります。そのためケアマネージャーとして介護施設で働くあん摩マッサージ指圧師の方もいます。
5.スポーツ施設(トレーナー)
あん摩マッサージ指圧師はマッサージの実務教育の他に、生理学・解剖学など筋肉や内臓など身体の仕組みをよく教育されています。そのためスポーツ選手のトレーナーとして働くあん摩マッサージ指圧師もいます。スポーツトレーナーにはトレーニングメニューを考え、一緒にウォーミングアップやクールダウンを行うフィジカルトレーナーと、選手の健康面を管理し、疲労回復や怪我の予防・治療を担当するメディカルトレーナー(アスレティックトレーナー)の2つに大きく分れます。
資金力のある大きなプロスポーツチームであれば、それぞれのトレーナーを何名も雇えるのですが、多くのチームはそうではありません。そのためどちらもこなせるトレーナーが求められており、あん摩マッサージ指圧師はその代表的な資格の一つなのです。
6.リラクゼーションサロン、エステサロン
リラックスや癒しを提供するリラクゼーションサロンや、美容を提供するエステサロンでもマッサージは行われています。特に美容目的のマッサージは医療マッサージとは違う知識、技術が必要とされます。耳つぼダイエットなど痩せることを目的としたマッサージも人気があります。利用する方はほとんど女性のため、女性のあん摩マッサージ指圧師の方が活躍しやすいかもしれません。
7.企業(ヘルスキーパー)
企業に雇用された理療師(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師)のことをヘルスキーパーといいます。ヘルスキーパーは同じ企業の従業員に対してマッサージなどを行い、従業員の健康増進・業務効率の向上を達成することで企業に貢献することが目的です。過労やストレスなどで従業員が退職してしまうことを防ぐために企業が福利厚生として導入しつつあります。また障害者雇用促進法により、障がい者を全従業員数の2%以上雇うことが義務付けられています(従業員数が50人以上の場合のみ)。あん摩マッサージ指圧師には視覚障がい者の方も多いため、障がい者雇用と福利厚生の充実が出来ることからヘルスキーパーに注目が集まっています。
ヘルスキーパーとして働くあん摩マッサージ指圧師には、疲労回復・健康増進・ストレス解消のためのマッサージ技術が求められます。
8.オフィスマッサージ
従業員数が少ない中小企業の場合、福利厚生でマッサージを導入する場合にはヘルスキーパーではなくオフィスマッサージを採用することが多いです。オフィスマッサージはあん摩マッサージ指圧師が、企業に出張訪問して空いている会議室などでマッサージを提供するサービスのことです。利用人数が少ない場合はヘルスキーパーよりも安く抑えられるので、オフィスマッサージを採用する企業も多いです。
9.まとめ
- 病院、治療院、利用者宅、介護施設、スポーツ施設、サロン、企業などあん摩マッサージ指圧師の活躍できる職場は多い
- それぞれの職場で求められる知識・技術は違う
- 高齢者の増加から医療マッサージが求められる機会が増えている
従業員の過労やストレス、超高齢化社会の到来など、時代の変化に合わせてあん摩マッサージ指圧師の必要性は拡大しつつあります。将来あん摩マッサージ指圧師になろうとしている方の職場選びの参考になれば幸いです。
介護を知るトップへ
サイトトップへ