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症状・傷病

言葉が出にくくなる?!脳梗塞の後遺症で起こる失語症。その症状と種類、リハビリ方法をご紹介いたします。

皆さんは、言葉が出にくくなる失語症をご存知ですか?
脳卒中を起こした後に、ろれつが回らなかったり上手く話せなくなったりなどの言語障害が現れるということをご存知の方は多いのではないのでしょうか?私たちは言葉を発するとき、脳で考え言葉を操ります。しかし、脳の言語を司る部分が、損傷を受けることで、発話するメカニズムが崩れ上手く話せなくなるのです。

今回は、言語障害の一つである失語症の症状と種類、そのリハビリ方法をご紹介致します。

1.失語症とは?(原因と概要)

失語症とは言語障害の一種で、脳になんらかの損傷を受けることによって発症します。脳卒中、頭部の外傷などによる脳の圧迫、損傷が原因とされています。
原因の約90%以上が脳卒中といわれているため、脳卒中の発症率の高い高齢者に多くみられます。

失語症の状態を「言葉の通じない国に迷い込んだような状態」と例えられます。いつもの日常生活で、突然言葉が通じなくなる不安は安易に想像がつくかと思います。失語症は、頭ではイメージがはっきりしているのですが、言葉に表現することができません。相手に自分の思っていることが伝わらないストレス、不安などを常に抱えています。

また「えー、あー」などが多く具体的な単語が出にくいという症状から、「認知症」と間違えられることがあります。しかし、認知症と失語症には大きな違いがあります。
認知症は、新しいことの記憶、人・場所・時間といった状況の記憶が難しくなります。一方、失語症の場合、記憶はしっかりとあり状況の把握も問題なくできています。ただそれを、言葉として表現することができないのです。

2. 失語症の症状

失語症は「話す」ことが出来ない状態と思われがちですが、「聞く」「読む」「書く」といったことも難しくなります。失語症の症状の一部をご紹介致します。

【換語困難】

頭で考えていたり、思っていたりすることが言葉として出ない、「話す」ができない症状です。換語困難は失語症のほとんどの方に見られる症状です。換語困難の中でもいくつかの症状があります。

■ 錯語・・・頭で考えているイメージと違う言葉がでる、いわゆる言い間違いのことです。言葉の一部を間違えることを「字性錯語」、単語そのものを間違えることを「語性錯語」と呼びます。
例)「うどん」と言いたい場合
字性錯語)「うどん」⇒「うだん」  
語性錯誤)「うどん」⇒「そば」

■ 残語・・・全失語など重度の失語症の方にみられる、発音することができる限られた言葉やもともとその人が良く使っていた言葉を繰り返す症状です。1つの音や単語に限られる場合があり、イントネーションや強弱をつけて伝えようとします。
例)ひとつの音の場合
質問「ご飯にしますか?」 回答「な。」
質問「先にお風呂にしますか?」 回答「な!」

例)単語に限られる場合
質問「ご飯にしますか?」 回答「なるほど!」
質問「先にお風呂にしますか?」 回答「なるほど~」

■ 保続・・・一つ前の質問の回答を繰り返してしまう症状。例えば、絵をみて名称を答える訓練をしている場合、1枚目の回答が「ネコ」だった場合、2枚目を見ても「ネコ」と回答してしまいます。

【言語理解の障害】

聴覚には問題はなく、聞こえているがその言葉を理解できない「聞く」ができない症状です。 相手が話している内容や単語が理解できず、何を言っているのかわからない状態です。特に長文になると文字の羅列のように聞こえます。

【文法の障害】

正しく文書をつくり話すことができなくなるといった症状です。
例)今日はお腹が痛いので休みます⇒お腹の今日痛いは休みます
上記の例のように正しく文を組み立てることができません。

【読むことができない障害】

紙に書いてある文字や文章の意味を理解することができない症状です。

【書字の障害】

文字の形を想起できない、考えている文字と違う文字を書いてしまう、漢字など上手く組み立てることができないなどといった症状です。

3.失語症のタイプ

失語症は脳の損傷を受けた場所や範囲により、症状が異なりいくつかのタイプに分けられます。ここでは失語症のタイプの一部をご紹介致します。

【非流暢型の失語症】

自身が発する言語にたどたどしさがあったり、リズムや単語に乱れがあったり、ほとんど話すことができなかったりするのが非流暢型の失語症です。

・全失語

相手の言葉を聞きとり理解することも、自身で言葉を発することもほとんどできない最も重度の失語症です。

・ブローカ失語

相手の話していることは比較的理解でき、単語レベルならほとんど理解することができます。しかし、イメージが言葉になる過程で障害が起きるため、正しく言葉を発することができません。たどたどしく、遅い話し方になってしまいます。

・超皮質性運動失語

促したり話しかけない限り、自分から話し始めることはほとんどありません。ブローカ失語が「話せない」に対し、超皮質性運動失語は「話さない」といわれています。簡単な単語でしか話せない、口ごもったり言葉を発するのに時間を要するなどの特徴があります。
しかし、相手が話した言葉を同じように復唱することは可能です。

【流暢型の失語症】

非流暢型の失語症と比べ流暢に話すことができます。ただし、言葉の誤りや発音の誤りがあります。

・ウェルニッケ失語

滑らかに話すことはできますが、言葉の誤りがひどく現れます。もともとの言葉がなにか判別できないほどに、言葉が変化してしまうこともあります。
また相手が話している言葉や言葉自体の理解力はかなり低下しているのも特徴です。

・超皮質性感覚失語

発話は流暢で、音を認識することも可能です。その為相手の言ったことを復唱することもできますが、意味は理解できておらず、そのまま言葉をいうオウム返しが特徴として挙げられます。

・伝導失語

発話は流暢で、言語理解の障害も軽度です。しかし、言葉の音を間違えることが多く、「りんご」を「でんご」と発音するなど正しい発音になりません。

・健忘失語

軽度の失語症です。単語がところどころわからず「えー、あー」が多くなり、言葉にならないことがあります。「みかん」という単語が出ず、「昨日食べた、黄色いやつ、こたつの上に置いてあったあれ」といった回りくどい言い方が見られます。

上記のように、失語症といっても様々なタイプがあります。言葉が出ないからといって一概に発音の練習をすればいいわけではなく、それぞれにあったリハビリを行う必要があります。

4.失語症のリハビリ

失語症のリハビリは言語聴覚士によって行われます。早い段階でリハビリを行うことで言語機能の回復が期待できるといわれています。 ここでは失語症のリハビリ方法をご紹介いたします。

話す訓練

絵カードを見てその名称を答えたり、挨拶や会話をする訓練です。

復唱する訓練

相手が行った言葉をそのまま復唱する訓練です。相手の言葉を適切に聞き取り、発音する必要があります。 復唱が難しい失語症の方に行われます。

聞いて理解する訓練

単語や短文を聞いて、それに合った絵カードを選んだり、症状が軽い場合は文章の聞き取りを行ったりします。聞いた単語の意味や短文の内容を理解することが求められます。

読解訓練

単語(文字)をみて、正しい絵を選択する訓練です。何が書いてあるかを読み解く必要があります。

書く訓練

自分や家族の名前や、日用品の名称を文字にして書く訓練です。症状が軽い場合は、日記や長文を書いてもらいます。

失語症のリハビリはその人のレベル、症状にあった訓練を行うことが大切です。言語聴覚士に相談をしながら、自宅でも訓練を行うとより良いでしょう。 リハビリは、本人の負担にならないよう楽しくコミュニケーションをとりながら行うことが大切です。

5.失語症の方への接し方

・ゆっくり短く話す

失語症になると、話すこと・聞いて理解することに時間がかかります。普段のスピードよりゆっくり話すよう心がけましょう。
また、長文になると理解が困難になるため、簡潔に話すようにしましょう。
例)そろそろ12時なるのでお昼の用意をしようと思うのですが、少し時間がかかるので、お腹がすいているならみかんを食べてもいいですよ。
⇒みかんを食べますか?

・身振り手振りを加えて話す

言葉だけでなく、身振り手振りをいれることで理解しやすくなると言われています。話すときは、大きくうなずいたり手で大きさを表したりと言葉と一緒にジェスチャーを付けるようにしましょう。

・イラストや物を使って話す

頭の中ではイメージができているので、イラストや物を使うと理解しやすいと言われています。会話の補助として、イラストカードを用意しておくのも良いでしょう。

・ひらがなより漢字を使う

ひらがなは「音」を表しているのに対し、漢字は文字の「意味」を表しています。その為、失語症の方は漢字のほうが理解しやすいという傾向があります。

・50音表は使わない

言葉が出にくいのならば、50音表を使い指さしで会話をしようと考えがちですが、失語症の方は「読む」ことも困難な場合が多くあります。その為、失語症の方には有効な方法とは言えません。

6. まとめ

■ 失語症は言葉が出にくくなるだけでなく、言語を理解することも困難になる
■ 認知症との大きな違いは、状況の把握や記憶には問題がないという点
■ 様々な種類の失語症があるため、その人にあったリハビリを行う
■ 失語症の方と接する時はゆっくり、簡潔に話すようにする

一概に失語症といっても様々な種類があります。主治医に診てもらい、どのような症状なのか、どういったリハビリが良いのかしっかり話し合うことが大切です。
また、発話ができないからといって幼児化してしまう訳ではありませんので、子ども扱いをすることは絶対にやめましょう。失語症患者の方は自分の考えが上手く相手に伝わらず、不安やストレスを抱えています。そのままうつ状態になってしまう方も少なくはありません。

しっかり家族や周囲が失語症の症状を理解し、サポートしていくことが大切なのです。

筆者 レイス治療院
あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ施術師が400名以上在籍し、2003年より訪問マッサージを通じて地域社会に貢献している。
ご利用者様の健康を管理するために、技術面ではリハビリを取り入れたマッサージを行い、医療・介護業界での経験をもとにしたお悩み相談、医学的観点からアドバイスを行っている。

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