認知症の方が、大声で叫んだり奇声を上げたりする理由とは?大声を出す原因と対応の仕方
高齢者や認知症の方が突然大声で叫んだり奇声を上げたりすることは少なくありません。叫ばれると、介護をする方にとってはもちろんですが、同居している家族や、施設に入居している周りの人にとっても精神的に苦痛になります。
ここでは、高齢者や認知症の方が叫ぶ理由と対応の仕方、対応する際のポイントについてご紹介します。
1. なぜ大声で叫ぶのか?(原因・理由)
高齢者や認知症の方に突然叫ばれると、介護する側は戸惑ってしまい、どのように接していいか困ってしまいますよね。対応を考える前に、まずは叫ぶ理由をきちんと理解してあげましょう。
① 自分の意思が相手に伝わっていない
誰でも自分の意思が相手に伝わらないとイライラしてしまうものです。高齢者の中には意思表示がきちんとできない方もいます。特に認知症の方は感情のコントロールが上手くできないために、自分の意思が相手に伝わらず、大声で叫んでしまう場合があります。
② 恐怖や不安なことがある
認知症の中核症状の一つである記憶障害や見当識障害が起こり、恐怖や不安で叫んでしまうケースがあります。記憶障害とは、自分が経験したことや過去の記憶などが抜け落ちてしまう障害のことをいい、見当識障害とは自分が今置かれている状況が認識できなくなる障害のことをいいます。この記憶障害や、見当識障害が起きると、今どこにいるのか分からなくなったり、自分が誰なのか、または家族のことが分からなくなったりしてしまい、恐怖や不安に陥って叫んでしまうのです。
③ 幻視や妄想から困惑している
幻視や妄想も認知症の方に起きる症状の中の一つです。例えば、目の前に知らない人が立っているなど、ありもしないまぼろしが見えて困惑してしまい、結果として叫んでしまうことがあります。
④ 不快なことがある
高齢者や認知症の方の中には、体調不良や周りの状況で何か不快ことがあると叫んでしまうことがあります。 以下のようなことが当てはまらないか確認してみましょう。
・冷房、または暖房が効きすぎている
・便秘や体の痛み(体調不良)
・口や喉が渇いている
・体が痒い
2. 大声で叫ばれたらどうしたらいい?(対応・対策)
大声で叫ぶ高齢者や認知症の方にはどのように接したらいいでしょうか。叫んでしまう理由がわかったら、それぞれの理由にあわせた対応方法をご紹介していきます。
① 自分の意思が相手に伝わっていない
まずは本人から話を聞いてみましょう。叫ばれたからといって、大声で「静かにしなさい!」などと介護する側が叫んでしまうのは逆効果になってしまいます。落ちついで何があったのか「どうしたの?」「何があったの?」と話しかけてみましょう。繰り返し辛抱強く聞くことで、叫ぶ理由に気づく場合があります。
② 恐怖や不安なことがある
不安になりそうな要素を事前に取り除いておきましょう。例えば、暗闇にならないように、電気を薄暗くつけておくことや、本人の好きな写真やテレビを見せたり、音楽などをかけてあげるのも効果的です。それでも恐怖や不安から叫んでしまう場合は、「大丈夫だよ。」とやさしく話しかけて、相手を安心させるようにしましょう。
③ 幻視や妄想から困惑している
幻視を見たり妄想をしたりしてしまい困惑しているときは、否定せずに共感してあげることが重要なポイントです。見えない人が見えている場合は、「人が立っているけど大丈夫だよ。」などと相手の気持ちになって共感してあげましょう。
④ 不快なことがある
体調不良や不快なことがないか、一つ一つ確認していきましょう。「おなかが痛くない?」「部屋が寒くない?」などと具体的に聞いてあげることで、案外答えてくれる場合があります。
3. 対応するときのポイントは?! (介護者の注意点)
叫ばれたり奇声を上げられたりすると、介護する側もストレスになり、ついつい強い口調で対応しがちになってしまいます。しかし、強い口調で対応すると、高齢者の方や認知症の方はさらに不安や恐怖になり、悪循環になってしまいます。そのため対応する際には、絶対に強い口調で話しかけない、押さえつけないことが重要なポイントになります。
また、その日の行動を振り返ることで、不快なことや不安なことに気づく場合があります。特に、夜間に叫ぶことが多い場合には、必ずその日の行動を振り返ってみましょう。
4. まとめ
■大声で叫ぶ理由は身の回りのちょっとしたことから不安や恐怖に陥るため。
■大声で叫んだり奇声を上げている時の対応は、何が不快なのかを優しく話しかけ、安心させる。
■その日の行動を振り返り、事前に不安や恐怖になることを取り除く。
■話しかける際は絶対に優しく接する。
介護者にとって大声で叫ばれるのは非常にストレスになりやすいですが、叫んでしまう高齢者や認知症の方にとっても叫ぶ理由があり、ストレスになっていることを忘れずに、一つ一つ大声で叫ぶ理由を理解し対応することで、解決していきましょう。
筆者 レイス治療院
あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ施術師が400名以上在籍し、2003年より訪問マッサージを通じて地域社会に貢献している。
ご利用者様の健康を管理するために、技術面ではリハビリを取り入れたマッサージを行い、医療・介護業界での経験をもとにしたお悩み相談、医学的観点からアドバイスを行っている。
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