食事を嫌がる高齢者。食べない理由とその対処方法(介護の悩み)
人間にとって、栄養をとる手段の一つである食事。しかしながら、介護される高齢者がご飯を食べてくれずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。ここではご飯を食べてくれない理由とその場合の対処方法をお伝えします。
1. 食べない理由を徹底解説!
高齢者の中には食事の時間にご飯を用意しても、拒否される方がいます。食べてくれないと「栄養が足りなくて、病気になったり、倒れてしまったりするのでは?」と不安になってしまいますよね。このような状況は、特に認知症を方に多く見られます。まずは食べない理由をしっかりと理解しましょう。
①食べ物を飲み込めない
加齢が進むにつれ飲み込む(嚥下)機能が弱くなってきます。そのため、自然に食べるのを拒否してしまうのです。食べ物をいつまでも口に入れていたり、食べ物を吐き出してしまう場合はこの理由を疑いましょう。
②食べ物が分からない
認知症の方に多くみられる「失認」と呼ばれる症状が現れ、食べ物を食べ物だと認識できない場合があります。「失認」とは、目や耳、舌などの感覚器に異常がないのに、五感を通じてまわりの状況を把握する機能が低下することです。この「失認」の症状が現れると食べ物を認識できず、結果として食べないことがあります。
③食べ方が分からない
「失認」ではなく、食べ物として認識はしているが、食べてくれない場合は、「失行」を疑いましょう。これも、認知症の症状の一つで、手などの運動機能に異常がないのに、動作を行う機能が低下することです。体に異常がないのに普段できていたことが出来ない場合は、これに当てはまります。
④体調が悪い
高齢者の中には、自分の意思表示がうまくできない方も少なくありません。体調が悪いのに、それを伝えることができず、食べるのを拒否する場合があります。
2. 食べない場合の対応方法
介護をする側にとって、食事を食べてくれないのは本当に心配ですよね。食べない理由が分かったら、その理由に合わせて、対応してみましょう。
①食べ物を飲み込めない場合
食べ物を飲み込めない場合はゼリーなどの柔らかい食べ物に変更する、食べやすいように小さくしてみる、噛みやすいように刻んでみるなど、食べ物に工夫をしてみましょう。
②食べ物が分からない場合
食べ物が分からない場合は周囲に食べ物よりも興味を引くものがある場合が多いです。また、食卓につかず、徘徊してしまうこともあります。その場合は、気が済むまで、一緒に歩いてあげたり、興味があるものに触れさせてあげたりと、思う存分にしたいことをさせて疲れたところで食事に誘導すると食べてくれることがあります。また、食事のときに、「これは○○○ですよ。おいしいですよ。」など、食べ物を口に出して話しかけるのも有効です。
③食べ方が分からない場合
この場合は、食事のときに向かい側に座り、一緒に食べてあげるようにしましょう。食べ方を見せることで、真似をして食べることもあります。また、お箸の使い方が分からずに食べないときもあるので、その場合はスプーンやフォークを試すのも効果的です。
④体調が悪い場合
「痛いところはない?」「気分が悪い?」など声をかけ、口内炎や便秘など、体調が悪くないか毎日チェックしましょう。とくに自分から意思表示をしない場合は声に出して確認することで、反応を示してくれる場合があります。体調が悪いのであれば無理に食べさせず、必ず医師に相談しましょう。
3. 絶対にしてはいけない!食事介助のポイント
食べない場合にやりがちなのが、口の前にむりやり食事を持っていったり、無理に口に入れてしまうことです。これは一番やってはいけません。なぜなら、炎などの病気を引き起こす場合もあるからです。高齢者の死因の多くは肺炎です。そのため、無理に食べさせるのは絶対にやめましょう。食べないのは介護者にとって心配ですが、それがストレスとなり、介護を受ける側に伝わると悪循環になってしまいます。一日ぐらい食べなくても大丈夫と割り切ることが重要かもしれません。
4. まとめ
■ 食べない理由は食べ物が分からない、食べ方が分からない、体調不良など。
■ 日々便秘や口内炎など体調不良がないか、確認する。
■ 食べ物に工夫する、自分で食べられるよう食べさせ方を変えるなどの工夫をして対応する。
■ 嚥下につながり、肺炎を起こしかねないので絶対に無理に食べさせない。
いろいろな対応方法をご紹介しましたがなぜ食べないのか理由を理解し、無理に食べさせるのではなく、その方にあった方法で対応してあげましょう。ぜひ一度試してみてくださいね。
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