高齢者を車いすに移乗させるときの注意点は?使い方をしっかり学びましょう!
筋力の低下や身体の痛みなどで、自身で歩くことが困難な方にとって車いすはとても便利な道具です。しかし、正しい使い方を知っておかなければ、危険が伴うこともあります。
今回は車いすへの正しい移乗のさせ方や移動介助の仕方等をご紹介いたします。
1.車いすの種類
車いすは、手動と電動のものに大きく分けられます。
1)手動の車いす
手動の車いすは、乗っている本人が足や手を使い自分で動かす自走型と、介助者が操作する介助型の車いすに分かれます。
自走型と介助型の違いとしては、介助型はタイヤが小さくハンドリムがついていません。ハンドリムとは、自分で車いすを漕ぐ時にタイヤを回すためについている車輪の外側の輪っかのことです。その為、介助型は利用者による運転はでません。しかし、自走型と比べタイヤが小さくなり比較的軽くコンパクトになる為、収納や持ち運びに適しています。
車いすを移動などで持ち上げることが多い、本人が車いすを漕ぐことが出来ない場合は、介助型がおすすめです。
2)電動の車いす
電動車いす、バッテリーの電気でモーターが駆動し、移動することが出来る車いすです。
筋力の低下により、自身で車いすを漕ぐことが出来ない場合や介護者の負担を軽減させたい場合におすすめです。バッテリーを持ち歩けば長距離の移動も可能です。
電動車いすは便利な反面、身体を動かす機会が少なくなりがちです。定期的に身体を動かす必要があります。
2.車いすへの移乗
■自身で移乗する場合
1)ブレーキをかけ、フットプレートをあげます
ベッドになるべく車いすを密着させます。できればベッドの高さと車いすの座椅子の高さを合わせましょう。
車いすに移乗するときは、必ずブレーキをかけましょう。しっかり固定されていないと、転倒したり怪我の原因になります。
ブレーキをかけたら、フットプレートをあげます。
2)両手で身体を支え、持ち上げます
ベットの柵と車いすの奥側の肘掛けを両手でつかみ身体を支えます。立ち上がるときは、頭を前に下げ前かがみになるようにすると、おしりを持ち上げやすくなります。
3)身体の向きを変え、車いすに腰を下ろします
ベッドの柵と肘掛けを両手で持ったまま、身体の向きを変えます。完全に車いすに腰をかけるまで、手は離さないでください。移乗の際は、慌てずゆっくり行いましょう。
安全の為、深く腰掛けるようにしましょう。車いすに座ったら、フットプレートを下ろして足をのせます。
■介助する場合
1)ブレーキをかけ、フットプレートをあげます
準備は、自身で移乗するときと同じです。ベッドの横に車いすを付け、ブレーキをしっかりかけ、アームプレートを上げます。
2)立ち上がりのサポートをします
本人の足を地面につけてもらい、立ち上がりのサポートをします。
両手を脇の下にしっかり入れたら、頭を深く下げてもらいます。本人の足に体重がかかり、おしりを上げやすくなったら脇の下にいれた両手を上方に力を入れます。
この時、急に持ち上げようとせず一言声をかけましょう。
3)身体を回転させ、車いすに腰を下ろしましょう
おしりが上がったら、介助者は車いすの方に一歩足を出し身体を回転させます。座れる準備ができたら、再び頭を深く下げてもらい、椅子に腰かけます。
深く腰掛けているのを確認したら、フットプレートを下げ、足を乗せてもらいましょう。
3. 車いすの押し方
車いすを押していると、押すことに真剣になりつい乗っている人のことを忘れてしまいがちです。声かけをしたり思いやりをもって押すことを心がけましょう。
1)小さな段差を上がるとき
段差を上がるときは、段差に対し正面に車いすを向けます。前輪を持ち上げ、乗っている人の体重が自分にかかるようにすると持ち上がりやすくなります。
前輪を上げるときは、車いすの後ろの下側にあるテッピングレバーを踏むと、前輪が浮かしやすくなります。
前輪を段差に乗せたら後輪を浮かし押し進めます。
2)でこぼこする道を通るとき
砂利道や踏切のようなでこぼこした道を通る場合は、前輪をすこし上げるような気持ちで押すと進みやすくなります。転倒しないように、ゆっくり押しましょう。
また、乗っている人に「少しでこぼこした道を通りますね」と一言声をかけましょう。
3)斜面を走行する場合
斜面を登るときは、押し戻されないように身体をすこし前に倒すようにして車いすを支えます。この時、脇をしっかり締め大股で一歩ずつ歩くと力が入りやすくなります。
ゆるやかな坂道を下るときは、しっかりと車いすのグリップを握り、少し自分側に引っ張るようにして下ります。急な坂道の場合は、後ろ向きで下ります。足元をしっかりと見て、ゆっくり慌てず動きましょう。
■注意点
- 急な発進、停止は危険ですので絶対にやめましょう。
- 車いすから離れるときは、必ずブレーキをかけましょう。
- 坂道や段差など1人で介助が厳しい場合は無理をせず周囲に手助けを求めましょう。
- 車いすになるべく近づいて押すようにしましょう。(スピード調整がしやすくなります)
- 乗っている人の足がフットプレートから落ちていないか確認をするようにしましょう。
4.まとめ
- 車いすを乗り降りする時は、必ずブレーキがかかっていることを確認する
- フットプレートから足が落ちないようにしっかりと乗せてもらう
- 移動介助をするときは思いやりを持ち、声かけを忘れない
車いすの乗り降り、移動介助をされることは高齢者にとって不安なことです。平坦な道でも、乗っている高齢者は振動が激しいと感じている場合もあります。「段差をのぼりますね」「ブレーキをかけましたよ」「あの角を曲がりますね」など、コミュニケーションをしっかりと取り、車いすを押すようにしましょう。
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