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家族が知っておくべき介護知識

介護の基本!高齢者の体調管理について。正しいバイタルチェックの方法と注意点。

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介護の基本となる高齢者の体調管理。この体調管理をする上で重要になってくるのが、毎日のバイタルチェックです。バイタルチェックという言葉は、一般の方はあまり聞き慣れない言葉だと思います。そもそも「バイタル」とは「生命」を意味しており、バイタルチェックとは「生きていることを確認する」すなわち、元気かどうかをチェックするという意味で、介護施設などで用いられています。ここでは、バイタルチェックについて正しい方法と注意点などをご紹介します。

1. どうやるの?(バイタルチェックの方法と注意点)

バイタルチェックでは意識・呼吸・体温・血圧・脈拍などを確認します。それぞれの確認方法について詳しく説明していきます。

① 意識

バイタルチェックでまず始めに確認するのが意識状態です。いつもと違う反応の場合は、意識障害や麻痺が生じている可能性があります。
(チェック方法)
ゆっくりと話しかけてみましょう。話しかける言葉は日常会話レベルで問題ありません。もしここで、普段と様子がおかしい場合は、「自分の名前は分かりますか。」「今、どこにいるか分かりますか。」など、自分自身で今ある状況を理解しているか確認してください。また、明らかに意識がない場合などは、「○○さん、聞こえますか。」と大きな声で聞こえるように話しかけてください。その方の名前を呼ぶのがポイントです。
(注意点)
話しかけても明らかに意識がない場合でも、体を揺らしたり、頭を揺らしたりする行動は危険ですので絶対にやめましょう。外部からの刺激により反応を確認する際は、肩を叩き、強さも力強くではなく、通常の力で十分です。

② 呼吸

呼吸は1分間あたりの呼吸回数で判断し、体や精神状態によって変化します。呼吸の回数に異常があると、呼吸器疾患や、代謝疾患の恐れがあります。また、呼吸の乱れは心臓の異常や脳の異変の可能性もあります。
(チェック方法)
胸やみぞおちの上下運動の回数を1分間測定します。ベッドに横になっている場合は布団の上から観察したり、上半身を起こしている場合は胸に手を当てて動きを感じ取ったりします。回数だけでなく呼吸の乱れがないか、呼吸の深さ、音、痰、咳なども合わせて確認しましょう。高齢者の場合は1分間に15~20回が目安となります。また、呼吸のリズムは「吸う:吐く:休む =1:1:1」が標準的です。
(注意点)
運動後や興奮状態、無理な体勢での測定は呼吸が乱れやすく、回数も増え、正しい測定ができません。必ず安静な状態で測定を行いましょう。

③ 体温

体温は体のエネルギーを使えば使うほど上昇します。そのため、体で炎症が起きていると体温が上昇する場合があります。
(チェック方法)
基本的には脇の下で測定します。体温計を体に対して30度の角度で挟んで測定します。脇の一番深いところまできちんと入れましょう。痩せている方など、脇の下で測定しても正しい値が出ない方は口腔や外耳道(耳の穴)で測定してください。高齢者の場合、平熱が35度後半から36度と言われており、若い方よりも平熱が1度ぐらい低くなっていることが多いです。人によって個人差があるため、毎日測定して平熱を確認しておきましょう。
(注意点)
脇の下で測定する場合は、汗などをきちんと拭いてからにしましょう。また食後や運動後は体温が上昇する傾向にあるため、なるべく控えましょう。

④ 血圧

血圧は血管内に血液がたくさん流れているときは高くなり、逆に血液の流れが悪いときは低くなります。血圧の急激な変化は脳梗塞や心筋梗塞などの血管の異常となる場合があります。
(チェック方法)
様々な血圧計がありますが、指で測定するものなどは装着の具合によって値が変動する場合があるため、上腕に巻くタイプがお勧めです。上腕に巻くタイプであれば、指が1~2本入る程度のゆるさで巻いて測定しましょう。最高血圧はおよそ139mmHg以下、最低血圧は89mmHg以下が目安となります。しかしながら、高齢者の場合、お薬の影響で目安よりも高くなる場合があります。お薬を飲んでいる方は、事前にお医者様に血圧の目安を確認しておくとよいでしょう。
(注意点)
周りがうるさくて落ち着けないときや、トイレを我慢しているときなど、リラックスできない環境で測定すると血圧が変化してしまうため、毎日同じ時間に落ち着いた状態で測定するのがポイントです。また、心臓よりも高い上腕で測定するのが基本ですので、必ず座って測定しましょう。

⑤ 脈拍

脈拍は1分間あたりの心臓の拍動数で判断し、交感神経と副交感神経の状態で変化します。脈拍の異常は薬の副作用や心臓の異常、脱水時などのサインとなります。
(チェック方法)
橈骨動脈(肘から手首にかけて走る動脈)に人差し指・中指・薬指を軽く当てて、1分間に何回拍動があるか測定します。回数だけでなく、不整脈の有無やその回数なども確認しましょう。高齢者の場合は若い方よりもやや少ない60~80回が目安となります。
(注意点)
測定者の脈拍と混同してしまうため、親指は使わないでください。また、脈拍は入浴後、食事後、運動後など興奮状態で測定すると早くなってしまう傾向がありますので、安静状態で測定するようにしましょう。

2. バイタルチェックの必要性

バイタルチェックは高齢者の体調の変化を知る目安となります。また、体の異常をいち早く察知することが可能ですので、毎日行いましょう。毎日行うとどうしても機械的になりやすいですが、会話を通して本人の意思を確認でき、コミュニケーションを図ることで、介護をしやすい環境を作ることができます。また、チェックした内容は記録に残し、医師に診てもらうときは必ず提出しましょう。そうすることで、新たな病気の早期発見にもつながります。

3. まとめ

  • 介護の基本となるバイタルチェックでは、意識・呼吸・体温・血圧・脈拍を確認する。
  • バイタルチェックは高齢者の体調の変化を知る目安となり、体の異常をいち早く察知することができる。
  • バイタルチェックは毎日行い、記録をつけて、医者にかかる際は必ず提出する。

高齢者の中には、なかなか体調不良の意思表示をしてくれない方もいらっしゃいます。そのような方に対して、体調管理を行うにはバイタルチェックが非常に有効です。ご高齢のご両親やお身内の方にずっと健康でいてもらうためにも、ぜひ実施してみてください。

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