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緊急処置

高齢者が吐いたときの対処法!嘔吐の原因と対処法、繰り返さない為に気を付けること

自宅で家族の介護をしている方にとって、家族の急な体調の変化はとても恐ろしいものです。今回は、自宅で家族が吐いてしまった場合どのように対処すればいいのか、嘔吐の原因と一緒にご紹介いたします。

1. 高齢者の嘔吐の原因

高齢になると食道や胃の機能が低下することに加え、前傾姿勢状態が続くことで胃が圧迫され嘔吐を繰り返してしまうことがあります。また便秘が続くことで嘔吐しやすくなるので、便秘を予防することも大切です。

寝たきりの高齢者の場合、吐いたものが気管や肺に入り込んでしまい、呼吸困難に陥ってしまう場合があります。吐いた後も、しっかりと家族が見守ることが大切です。

2. 吐いてしまった時の対処法

では、実際に嘔吐してしまった場合、どのように対処すれば良いのがご紹介いたします。対処法を覚えておけば、急に吐いてしまったときでも慌てず対処することができます。

1)横向き、またはうつぶせに寝かせる

仰向けの姿勢で吐いてしまうと、むせたり嘔吐物が気管に入って詰まる可能性があります。なるべく横向きに寝かせ、タオルを顔の周りに広げて敷いておきましょう。

タオルの代わりにフラットタイプのおむつを敷けば、嘔吐物の水分を吸収しすばやく処理することができます。また、そのまま嘔吐物を覆うことで感染拡大を防止することができます。

横を向いて寝る時は、左を下にして寝るようにしましょう。消化を促す為に食後は右向きに寝るのが良いといわれていますが、胃の機能が弱っている時は左向きで寝る方が良いそうです。
右向きで寝ると胃の入り口も下を向いてしまう為、食道に胃の内容物が逆流しやすくなります。逆流性胃腸炎を患っている方は、胃液が上がらないように左向きで寝るよう指導されるそうです。

どちらにせよ、本人が一番楽な姿勢をとってあげることが大切です。
うつ伏せにする場合は、顔だけ横に向け呼吸ができるよう十分注意してあげましょう。

2)口の中に残った嘔吐物を取り除く

口の中に嘔吐物が残っていると、さらに吐き気を催す場合があります。気管に入り込むのを防ぐ為にも、口の中に残った嘔吐物を手で出してあげましょう。このとき、深く手を入れないよう優しく行って下さい。

またレモン汁や食塩が少し入った水でうがいをすることで残った嘔吐物を綺麗に洗い流し、口の中をすっきりさせることができます。うがいができない場合は水で濡らしたガーゼで口の中を綺麗にしましょう。この時、可能なら入れ歯を外してあげて下さい。

3)無理に吐かせない、我慢させない

指を喉に入れて吐かせるのは、喉を傷つけたり胃に負担をかけることになるのでやめましょう。
吐きたいときに我慢せず吐けるように洗面器やタオルなどを近くに置いておきましょう。嘔吐物のにおいで気分が再び悪くならないように、嘔吐物の処理がしやすいよう工夫することも大切です。

4)吐き気が治まったら水分を補給する

脱水症状にならないよう、すぐにでも水分を補給しなければならないと思われがちですが、吐き気が治まるまでは無理に飲ませないようにしましょう。
吐いてしまった後も、胃の逆流運動は続いています。その状態で、胃の中にものが入ってくると再び吐き気に襲われてしまいます。目安としては30分から1時間程度は何も飲まない方が良いでしょう。

吐き気が落ち着いてから、水分を補給します。何度も吐いていると水分と一緒に塩分も不足します。
できれば経口補水液をティースプーン1杯ずつ飲みましょう。5分おきにゆっくりと、ペースと量を調整しながら100cc程度補給したら胃を休めるようにしましょう。

3. チェックするポイント

医師の診察を受けるとき以下のポイントを聞かれる場合がありますので、忘れないようチェックしておきましょう。

  • 吐いた物に血が混じっていないか
  • 頭をぶつけていないか
  • 頭痛やひどいめまいはないか
  • 腹痛がないか。ある場合はどのあたりが痛むか
  • 呼吸が止まったり、不自然にゆっくりになっていないか
  • 意識はしっかりしているか
  • いつもと違う薬を服用していなかったか
  • 生ものを食べていなかったか

意識が混濁している、激しい腹痛を訴える、お腹が膨らんでいるなどに当てはまる場合は、すぐに病院で診察を受けましょう。

4. 嘔吐で考えられる病気

吐き気や嘔吐はよくある症状ですが、重大な病気が隠れている場合があります。嘔吐、吐き気と共に下記症状を訴えていないか確認しましょう。

(腹痛がある場合)

腹痛が伴う場合は、主に胃の病気が疑われます。嘔吐のほかに吐血がないか確認しましょう。軽度の痛みが続き、何度も嘔吐する場合は胃がんが疑われます。また、熱があり鈍い痛みや全身の倦怠感がある場合は急性肝炎や膵炎の可能性があります。

  • みぞおちの辺りの痛み…急性胃炎、胃がん、十二指腸潰瘍など
  • 上腹部の痛み…胆石、急性膵炎、急性肝炎など
  • 下腹部の痛み…腸炎、食中毒、虫垂炎など
  • 腹痛と腰や背中の痛み…腎盂腎炎など

(頭痛がある場合)

頭痛が伴う場合は、脳血管障害が疑われます。吐き気と頭痛のほかに、意識障害がないか確認しましょう。

  • 意識が朦朧としている…脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など
  • 目の痛みがある…急性緑内障など
  • めまいがする・・・メニエール病、突発性難聴など

5. まとめ

■ 高齢になると病気や加齢が原因で嘔吐しやすくなる
■ 吐き気が治まるまでは、安静に横向きで寝るようにする
■ 吐き気が治まったら少しずつ水分補給をする
■ 嘔吐のほかに頭痛、腹痛などの他の症状がないか確認する


吐き気は心理的な要因も強く、吐いてしまったことによる不安な気持ちが吐き気を強めている場合があります。背中をさすったり、声をかけたりして不安な気持ちを和らげましょう。
様々な疾患が原因で起こる嘔吐(吐き気)。吐いてしまったときは、慌てず冷静に行動しましょう。

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