骨折しやすい高齢者!転倒して骨折が疑わしい時はどうすればいいの?骨折したときの応急処置を紹介。
高齢者が怪我をする理由として一番多いといわれているのが「転倒」です。さらに転倒した高齢者のうち、約1割の方が骨折するといわれています。
骨折が原因で、介護が必要になったり寝たきりになったりしてしまう方は少なくありません。今回は高齢者の骨折と、骨折したときにどのような処置をすれば良いのかをご紹介いたします。
1.高齢者の骨折
高齢者は骨折しやすいといわれているのには理由があります。高齢になると加齢による筋力や視力、平衡感覚の低下により転倒するリスクが高まるのです。
さらに、転倒した際に受身をとる反応が遅くなるので、無防備な体勢で衝撃を受けてしまいます。
また、骨粗しょう症が進むと骨がもろくなっているため、少しの衝撃で骨折を引き起こしてしまいます。
2.骨折しやすい場所
高齢者が骨折しやすい場所は、太ももの付け根、肩、背骨、手首の4箇所といわれています。
1) 大腿骨頸部骨折(太ももの付け根・股関節のあたり)
転倒による骨折で一番多いのが太ももの付け根の骨折、大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)です。骨折すると治るまでに、長期間歩くことができなくなります。長期間動かさないことにより、足腰が弱ってしまい、そのまま寝たきりになってしまう高齢の方が多くいらっしゃいます。
2)上腕骨頸部骨折(肩)
上腕部の肩に近い部分の骨折を上腕骨頸部骨折(じょうわんこつけいぶこっせつ)といいます。この肩の骨折は、転倒の際に手をついたり、肩を強くぶつけたりした時に起こります。
3)脊椎圧迫骨折(背骨)
脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)は、外から力が加わることで背骨が圧迫され変形してしまう骨折です。骨粗しょう症の方に起こりやすく、脊椎が弱くなったために少しの衝撃で骨折を引き起こしてしまいます。転倒や重いものを持ち上げようとした時、くしゃみでも骨折してしまう可能性があるので、いつの間にか骨折していたという方も少なくありません。
4)橈骨末端骨折(手首)
橈骨末端骨折(とうこつえんいたいこっせつ)は、転倒し手首をついたときに起こりやすい手首の骨折です。すぐに、痛みと手首周辺の腫れを伴います。
3.骨折の症状
骨折の症状は度合いや種類によって様々ですが、代表的な症状をご紹介いたします。
・痛みがある
・変形している
・内出血している
・しびれがある
・疼痛がある(じんじんとした痛み)
・押すと痛い
・軋轢音(あつれきおん/骨折部位を押すと「ぎしぎし」といった音を触知すること)
・腫れている
怪我をした覚えがなくても、痛みが長い間続いている場合も骨折の可能性があります。自己判断せず、病院で診てもらい適切な処置を受けましょう。
4.骨折したときの応急処置
骨折が疑われる場合は、なるべく早く病院に行くか救急車を呼びましょう。
救急車を待っている間などに、下記の応急処置を行いましょう。骨折は内出血を起こし「ショック状態」に陥る場合もあります。特に大腿骨骨折は注意が必要です。顔色が悪い、冷や汗をかいている、呼吸が乱れているなどの症状がみられる場合はかなり危険な状態です。
1)安静に保つ
骨折が疑われるときは、無理に動かないようにしましょう。骨折した場所や折れ方によっては、横になるより座っている方が楽なこともあります。また変形している場合も、無理に治そうとするのはやめましょう。
2)冷やす
腫れたり熱を持っていたりする場合は、氷を入れた袋をタオルなど包み冷やしましょう。冷やすことで痛みを和らげ、内出血や炎症を抑えることが出来ます。
3)上げる
できるだけ患部を心臓よりも高い位置に上げることで、内出血を防ぎ、腫れや痛みを緩和します。足を骨折した場合は、横になりクッションやタオルなどを足の下に敷き心臓よりも高い位置にしておきましょう。
救急車がくるまでにチェックしておきましょう!
・どんな状況で怪我をしたのかを把握する
・どこに痛みを感じるか、歩くことは可能かを確認する
・お薬手帳など普段どんな薬を服用しているかわかるものを準備する
・保険証、お金など必要なものを用意しておく
家族が痛みを訴えていると、焦って間違った対処をしてしまいがちです。まずは、安静を保つことを第一に行動しましょう。また、救急車を呼んで良いかわからない場合は緊急相談センター(#7119)に電話しましょう。救急車が必要かどうかを相談することができます。
4.まとめ
■ 高齢者は、転倒するリスクが高く、骨がもろくなっているため骨折しやすい
■ 太ももの付け根、肩、手首、背骨が骨折しやすい
■ 骨折が疑われる場合は、本人が一番楽な姿勢で安静にすることが大切
■ 冷やすことにより内出血を防ぐことができる
■ 救急車が来るまでに状況をしっかり把握しておく
高齢者の骨折は高確率で起こります。いつもと同じ動作をしていただけなのに、いきなり痛みを訴えることがあります。いざというときのために、正しい応急処置の方法を覚えておきましょう。また日ごろからコミュニケーションをとり異常があったときに、いち早く気がつけるよう日ごろから注意をしておくことが大切です。
筆者 レイス治療院
あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ施術師が400名以上在籍し、2003年より訪問マッサージを通じて地域社会に貢献している。
ご利用者様の健康を管理するために、技術面ではリハビリを取り入れたマッサージを行い、医療・介護業界での経験をもとにしたお悩み相談、医学的観点からアドバイスを行っている。
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