意外と知らない?!高齢者の爪切りについて。爪の切り方のコツや注意点。
高齢になると爪が厚くなり、硬く変形してきて、自分で切ることが難しく放置してしまいがちです。そのまま爪を切らずに放置すると、細菌が繁殖しやすくなり不衛生な状態となってしまいます。また皮膚も乾燥しているため、無意識に引っ掻き傷などができている場合もあります。不衛生な爪で皮膚を引っ掻き、傷になってしまうと、そこから細菌が入り込み、皮膚の病気にもつながります。このような状態にならないためにも、介護する側が適切なケアを行えるかどうかが大切になってきます。今回は高齢者の爪の切り方のコツやその際の注意点をご紹介します。
1. 準備するもの
高齢者の爪切りをする際は、以下のものを準備しましょう。
■ 爪切り
爪切りにも刃が湾曲しているものや、刃が真っ直ぐのもの、ハサミ型やニッパー型など、様々なタイプのものがありますが、高齢者の爪切りにはハサミ型やニッパー型のものがお勧めです。
■ 爪ヤスリ
ただ爪を切っただけでは、爪がギザギザで皮膚を傷つけてしまう恐れがあるため、爪やすりで整えます。
■ 蒸タオル
爪やその周りの皮膚を温めるのに使用します。
2. 爪を切る前に(切りやすくするための工夫)
高齢者の爪は硬く分厚いため、そのまま切ろうとすると、力が入り、皮膚を傷つけてしまう恐れがあります。まずは爪や爪の周りの皮膚を温めて柔らかくしましょう。入浴後に切るのが理想ですが、入浴が困難な方や寝たきりの方などは蒸タオルで十分に温めてから切りましょう。足の爪を切る場合は、足湯をして揉みほぐすのも効果的です。
3. 上手に爪を切る方法(爪切りのコツ)
温め終わったら実際に爪を切っていきます。爪切りといえども刃物ですので、「今から爪を切りますね。」と必ず一声かけましょう。また、安全・安楽に行えるように、上手に切るコツについてそれぞれ説明していきます。
■ 体勢
爪を切る際には自分の影にならないよう配慮してください。なるべく明るいところで行い、光が当たるように工夫しましょう。
■ 爪の切り方
利き手ではない方の手で、手や脚の指先を押し上げるように持ちましょう。皮膚と爪の境界線をわかりやすくするのがポイントです。また、一度に切る爪の量は少しずつ皮膚を挟んでないか確認しながら丁寧に切っていきましょう。巻き爪防止のために、爪の両角はまっすぐに切るのがコツです。
■ 整える
爪を切り終わったら、爪ヤスリで全体を整えます。力を入れすぎると、削りすぎてしまうため注意が必要です。蒸タオルなどで拭きながら削ると、整っているかの確認がしやすくなります。少しでも引っ掛かる部分があると、皮膚を傷つけてしまう恐れがあるため、きちんと整えましょう。
4. 爪切りの注意点
爪に異常がある場合、爪切りは行えませんので事前にきちんと確認しましょう。また疾患(血液をサラサラにする薬を服用している)の中には爪切りを禁止している場合もありますので、必ず医師に確認してください。また、爪切りの最中に過って皮膚を切ってしまい出血した場合は、直ちに中止し、医師の診察を受けてください。無理に爪を短く切る必要はありませんので、深爪にならないように注意しましょう。爪を切り終えた後は、周辺をきれいに掃除し、爪の破片が残ってないか確認しましょう。
5. 自分でできない場合はどうしたらいい?
高齢者は膝や肘が曲がりにくく、爪を切るのが難しいです。「皮膚を切ってしまったらどうしよう。」と不安でなかなか爪切りに踏み切れない方も多いのではないでしょうか。しかしながら爪のケアをしないと、細菌が繁殖し思わぬ怪我や、病気になってしまいます。そんなときには、“デイサービス”や“皮膚科”に相談してみましょう。 高齢者のご両親やお身内の方がデイサービスを利用されている場合は、足湯や入浴後に爪を切ってくれる場合があります。施設によって異なりますので、担当者に確認してみるのがよいでしょう。デイサービスに通っていない方は、かかりつけの皮膚科に相談してみましょう。保険の対象になるかどうかは、爪の形状(巻爪などの手術が必要な場合)によっては保険が適用される場合がありますので、事前にお電話で確認するのがよいと思います。
6. まとめ
- 爪を切りやすくするには、足湯や蒸タオルなどで温めてから行う。
- 爪を切る時は、明るい場所で行い、少しずつ切っていく。
- 爪に異常がないか、爪を切っても大丈夫なのか事前に確認しておく。
- どうしても自分で爪切りができない場合はデイサービスや皮膚科に相談する。
様々な足のトラブルがあると、外出するのが嫌になり、自宅に座りっぱなしの生活になって運動不足になってしまいます。爪も足のトラブルの中の一つです。高齢者の爪を健康に保つために、今回ご紹介した爪切りのコツを参考に、是非ご家庭で挑戦してみてください。
筆者 レイス治療院
あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ施術師が400名以上在籍し、2003年より訪問マッサージを通じて地域社会に貢献している。
ご利用者様の健康を管理するために、技術面ではリハビリを取り入れたマッサージを行い、医療・介護業界での経験をもとにしたお悩み相談、医学的観点からアドバイスを行っている。
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