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家族が知っておくべき介護知識

床ずれを防ぐ体位変換の仕方・コツ・頻度は?詳しい手順や注意点を紹介。

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床ずれは、一度なってしまうと非常に治りにくく、他の病気の原因になる場合もあるため、ポイントをしっかりと押さえて予防する必要があります。

1.床ずれの原因と起こりやすい場所

床ずれは別名「褥瘡(じょくそう)」といい、寝たきりのお年寄りがずっと同じ体勢のままだとベッドと接している部分が圧迫され血液が流れにくくなり、その部分がただれたようになって損傷を受けてしまう事を言います。ベッドと接している場所で起こるため、起きやすい場所としては後頭部・肩・肩甲骨まわり・ひじ・骨盤周り・ひざ・かかとが上げられます。

2.体位変換の頻度

一般的には2時間を超えない範囲とされています。ただし、褥瘡予防に効果がある体圧分散寝具を使用している場合や、骨の突き出し具合によっては「4時間を超えない範囲」とされています。現在の頻度が適切かどうかは、入浴時などに褥瘡の出来やすい場所を見て赤くなっていないかをチェックします。「何時に」「どの体勢にしたか」がすぐに分かるようにチェック表を作成するのも有効な方法ですので、ぜひ作成してください。

3.体位変換の仕方

実際に体勢を変更する方法について説明をしていきますが、体勢を変えた後に服のしわ、シーツのしわは必ず伸ばすようにしてください。しわがあると、それも床ずれの原因になってしまいます。

○仰向けから右向きにする

(手順①)介護する人は寝ている人の左手側(向けたい方向と反対側)に立つ
寝ている人が横を向いてもベッドの端により過ぎないようにするためにスペースを確保する必要があります。体位変換を受ける人には、両手を胸の上で組んでもらい、負担がかからないようであれば膝を曲げてもらいます。

(手順②)寝ている人を引き寄せる
まず、上半身を動かします。介護する人は片方の手を後頭部か肩の辺りに手を差し込みます。もう片方の手は腰の下あたりに差し込みます。持ち上げる時に両腕で支える形になると思いますが、この際に両腕を広くしっかり当てる事をイメージし、身体をなるべく寝ている人に近づけた方が介護者への負担が少なくなります。移動させる際に身体が敷布団で擦れると、床ずれの原因にもなりますので、なるべく擦れないように移動させます。  次に、下半身を動かします。今度は、腰の下と膝の下に腕を入れて引き寄せましょう。

(手順③)介護する人は寝ている人の右手側(向けたい方向と同じ側)に立つ
横に倒す準備をするために反対側に移動します。寝ている人の倒す側の腕を上に上げ、もう片方の手は胸の上に乗せておき、上になる方の足を曲げて下になる方の足と交差させます。

(手順④)寝ている人の身体を倒す
介護する人は、寝ている人の肩と腰に手を当てて、肩甲骨と骨盤を意識して手前に引き寄せて寝返りを行います。

(手順⑤)クッションなどで角度の調整
横向きの際に気をつけなければならないのは、骨盤の辺りに圧が大きくかかり過ぎるため、30度程度の角度が推奨されています。厚めのクッションなどをはさみ調整を行いましょう。また、胸の前などに抱き枕のような感じでクッションを入れてあげると体勢が安定します。

○右向きから仰向け

(手順①)介護する人は寝ている人の右手側(向いている方向)に立つ
介護する人は、寝ている人のおへその前くらいの位置に立ち、寝ている人の両腕を胸の前で重ね、膝を曲げてかかとの位置をそろえます。

(手順②)膝から仰向けにする
介護する人は片方の手を膝の下に手を入れ、もう片方の手は肩甲骨の辺りを支えておき、ゆっくりと膝を持ち上げて仰向けにします。

(手順③)体の位置の調整
枕の位置や、身体がねじれてしまっていないかを確認し調整を行います。身体のねじれは不自然な圧がかかってしまうので特に注意が必要です。

(手順④)腕、膝を戻す
曲げている膝を伸ばし、胸の上で重ねている腕を下ろします。 仰向けから左向き、左向きから仰向けにするには、上記左右を入れ替えるだけです。

4.体勢以外で気をつけること

○発汗や失禁による湿気
体表面温度が32℃~36℃、体表面湿度が60%~100%の時に床ずれが発生しやすいと言われています。背中やお尻が汗ばむ事による湿気や、失禁による湿気などは、床ずれのリスクを高める事になります。腰や大腿部といった場所は汗をかきやすく、排泄物で汚染されやすい場所である上に、床ずれが出来やすい場所のため特に注意が必要です。

○皮膚の汚れ
皮膚に食べこぼしや便が付着していると、かぶれたり、ただれたりしやすくなるため、清潔に保つことが重要です。

○栄養状態
栄養状態がよくない人も褥瘡になりやすく、回復が遅くなるため栄養管理は床ずれの対策の中でも重要視されています。寝たきりの人などは低栄養状態になっている事に気づかない場合も多いので特に注意が必要です。

5.まとめ

・床ずれはベッドと接している部分が圧迫され血液が悪くなりおこる
・床ずれが起きやすい場所は後頭部、肩、肩甲骨まわり、ひじ、骨盤周り、ひざ、かかと
・体位変換は2時間に1度。設備が整っていれば4時間に1度でも良い
・湿気、皮膚の汚れ、栄養状態も床ずれには影響する。

床ずれは一度なってしまうとなかなか治らないので、ポイントを押さえてしっかり予防していきましょう。

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筆者 レイス治療院
あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ施術師が400名以上在籍し、2003年より訪問マッサージを通じて地域社会に貢献している。
ご利用者様の健康を管理するために、技術面ではリハビリを取り入れたマッサージを行い、医療・介護業界での経験をもとにしたお悩み相談、医学的観点からアドバイスを行っている。

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