冬場に流行るノロウイルスの予防法、感染時の脱水症状や呼吸困難など気をつける事、家族が感染した時の注意点について紹介します。
ここ数年、冬になるとよく耳にするようになったのは「ノロウイルス大流行」という言葉。
感染すると下痢と嘔吐に数日間苦しめられるという噂くらいは耳にしたことがあるでしょう。年間の感染者の7割が11月から2月にかけて発生するといわれており、まさに冬にピークを迎えます。まず、ノロウイルスとはどのようなものなのかをご説明させていただきます。
1.ノロウイルスとは
ノロウイルスは、感染すると発熱・下痢・嘔吐などを引き起こすウイルスで、主な感染経路は口からウイルスが入る経口感染です。食べ物から入るケースとしては、十分に加熱されていない二枚貝を食べた際に感染することが多いですが、感染力が非常に強いため二次感染の方が恐ろしいといわれています。もし、ノロウイルスに感染した人の便が1gあるとしたら10億個ほど含まれており、10個~100個程度が体内に入ると発症するという驚異的な感染力を持っています。そのため、ノロウイルスに感染した人が、手に菌がついた状態で触った場所には、かなりの確率で他の人を感染させられるだけの菌が付着している事になります。その場所を触ったあと、手洗いもろくにせずにパンなどの食べ物を手で直接触って食べると、潜伏期間の1日~2日後には目も当てられない状態になってしまいます。
2.ノロウイルスの症状
ノロウイルスの潜伏期間は、数時間~48時間程度といわれており、発症すると激しい吐き気、下痢、38度程度の発熱などが現れます。症状は大体2日程度で治まりますが、通常は1週間、長いと1ヶ月程度は便にウイルスが混ざっていることがあるので注意が必要です。
3.感染時に気を付けること
- 脱水症状
- 呼吸困難
大人が感染した場合、下痢の症状が出やすいという特徴があります。嘔吐・下痢で水分が体外に出ていくため、そのままにしておくと脱水症状になってしまいます。症状が治まる前からこまめに水分補給をおこないましょう。ただし、この時に水・白湯などを飲むと体液が薄まってしまい症状が悪化する場合があるため、経口補水液というブドウ糖と食塩を水に溶かした飲み物を飲む事が推奨されています。
子供と高齢者が感染した場合、嘔吐の症状が出やすいという特徴があります。嘔吐をした際に、吐いたものがのどに詰まり窒息する場合や、高齢者の場合は気管に入ってしまい誤嚥性肺炎を起こしてしまう場合もあるため、注意が必要です。
4.ノロウイルスの予防法
ノロウイルスに対する免疫は、一度感染しても1~2年で失われるといわれており、ワクチンは未だに開発されていませんので、地道な予防策が必要となります。予防法には下記のようなものがあります。
- よく加熱する
- よく手洗いする
ノロウイルスは、食品の中心温度が85℃以上で1分間加熱すると感染性はなくなるといわれています。ノロウイルスは驚異的な感染力があるため、通常のウイルスのように人が感染する数に増えるまで時間がかからず、少量付着していているだけでも感染するため、何でもしっかりと過熱しましょう。
手洗いは最も有効な予防方法といわれています。少しの菌でも発症する可能性があるため正しい手洗いの方法を身につけておきましょう。また、食事の前・帰宅時・トイレの後は必ず念入りに洗いましょう。
5.もし家族が感染したら
家族が完成した場合、対応を誤ると他の人にも感染してしまう可能性があります。家庭内に感染者がいる場合は、下記のような事に気を付けてください。
- 便や嘔吐物の処理
- トイレの掃除
- カーペットの掃除
処理をする際は、素手ではおこなわず使い捨ての手袋を着用し、使い捨てのマスクをつけて必ず口だけではなく鼻までガードしてください。ペーパータオルなど捨てられるもので汚物を集め、次亜塩素酸ナトリウムで拭き目に見えない菌を殺菌します。次亜塩素酸ナトリウムを使った後は水拭きをしておきましょう。最後は、処理に使用した手袋・マスク・ペーパータオルなどをビニール袋に密封して破棄します。
感染者がいる場合、トイレの便座・手すり・ドアノブ・流すためのレバーなどは、ノロウイルスに汚染されている可能性があります。次亜塩素酸ナトリウムで拭き菌を殺菌します。
汚物がカーペットについてしまった場合、汚物を取り除いたあと、ここでも次亜塩素酸ナトリウムといきたいところですが、次亜塩素酸ナトリウムには漂白作用があるため、色柄物には使用できません。そのような場合はスチームアイロンを使用します。95℃で1分間熱消毒をおこなえば、殺菌する事ができます。
6.次亜塩素酸ナトリウムとは
漂白、殺菌、抗菌効果のある塩素系の薬剤で、アルコール殺菌でも倒せないノロウイルスを倒すことが出来る強い味方です。聞きなれない名前なので特別な物と思いがちですが、どこの家庭にもあるキッチンハイターやブリーチなどの塩素系漂白剤に含まれています。そのままでは濃すぎるので、濃度0.02%に希釈して使うのが一般的です。作り方は500mlのペットボトルを用意し、ペットボトルのキャップ半分のハイター(またはブリーチ)を入れて、残りは水を入れれば完成です。
まとめ
- ノロウイルスは10個~100個程度が体内入るだけで発症するほど、感染力が強い
- ワクチンが無いため地道な予防が必要で、中でも手洗いは効果的
- アルコールでは殺菌できないため、次亜塩素酸ナトリウムを使用する
感染すると家族を巻き込む事になるため、人が多く出入りする場所に行った際などは、しっかりと手洗をし、ウイルスが家庭に潜入するのを防止していきましょう。
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