認知症の早期発見で進行防止!認知症初期症状をチェック!
物事の進め方を判断する、人とコミュニケーションをとる、記憶をする、計算をするなど、日常生活を過ごすために必要不可欠な「認知機能」。この「認知機能」が減退・消失してしまい、日常生活や社会生活に支障をきたしてしまうのが「認知症」です。
認知症を完全に治すことはできませんが、早期発見し治療を行うことで進行を遅らせたり、症状を緩和させたりすることが可能だといわれています。今回は認知症の早期発見の必要性、そのチェック方法をご紹介いたします。
1.早期発見のメリット
一時的な症状や治る病気の可能性がある
脳脊髄液(のうせきずいえき)が脳の真ん中にある「脳室」に溜まり、脳を圧迫する「正常圧水脳症(せいじょうあっすいとうしょう)」や、打撲などの外傷により脳の表面に血液が溜まり、血腫ができる「慢性硬膜血腫(まんせいこうまっかけっしゅ)」などによる認知症症状の場合、外科的な処置で良くなる場合があります。その他、脳腫瘍や栄養障害、甲状腺ホルモンの異常なども治る認知症に当てはまります。
しかし、この状態のまま「認知症は治らないから」といって放っておくと脳細胞が死んだり、機能不全に陥ったりして回復が出来なくなります。
治療の幅が広がる
現在、認知症を完治させる治療はないといわれていますが、進行を遅らせたり症状を緩和させたりする薬や治療法が日々開発されています。しかし、この薬や治療法も症状が進行してから行っても効果が薄いといわれています。早期発見し、いち早く治療を行うことで治療方法の幅が広がるのです。
信頼できる医師を探すことができる
認知症が進み、寝たきりの状態になってしまうと自分自身で治療や医師の決定をすることは困難になります。早期発見し医師とこれからの治療方針を話合って決めておくことで、自分の意思に沿った生活を送ることが出来ます。
また日本には認知症の専門医や認知症治療の知識・経験を持っている医師は、それほど多くないといわれています。最初にかかった医師が本人や家族と治療への考え方が違っていた、家庭でのアドバイスをもっとしてくれる医師が良いなど、納得のいく医師を探すことはなかなか大変な作業です。できるだけ早く信頼できる医師を探すためにも、早期発見が必要なのです。
2.認知症に気がつかない理由
認知症は、本人は気がつきにくい病気とされています。普段接している家族が些細な変化に気がつくことが早期発見に繋がります。
認知症に気がつかない理由として
- 歳だから仕方ないと重要な事と受け止めなかった
- 認知症についての知識がなく気がつかなかった
- 本人に自覚がない
などがあげられます。
「加齢による物忘れ」と判断してしまい認知症発見が遅れるケースが非常に多いといわれています。「あれ?」と思った時に、判断を早まらず医師や専門機関に相談しましょう。
3.認知症初期のチェックポイント
下記ポイントは、認知症発症から1~3年の初期段階の症状です。いくつも当てはまる場合は、一度医師の診断を受けてみましょう。
- ぼんやりすることが多くなった(やる気の低下)
- 同じ話を繰り返したり、尋ねたりする
- 行動や反応が遅くなった
- 無表情が目立ってきた
- 2つ以上のことが同時に出来ない
- 怒りやすくなった(もともとの性格の個性が強くなった)
- 買い物でお札ばかり出す
- 服装に気を使わなくなった(季節にあった服装が選べない)
- 何度確認しても日にちがあやふやになる
- 料理の味付けが変になった
- 今までできていた簡単な家事ができなくなった
- お金や持ち物が「盗まれた」と騒ぐ
家族に認知症症状がないか、普段から気をつけてみてみましょう。
4.認知症テスト
自宅でできる認知症テストは、沢山ありますがよく使われているテストは2種類あります。
(1)改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
長谷川式簡易知能評価スケールは日本で一番良く使われている認知症を判断するテストです。質問が9問あり、30点満点中20点以下であれば認知症の疑いがあるとされます。
時間や場所を問う質問や記憶力を確認する問題等があります。
(2)MMSE検査(ミニメンタルステート検査)
1975年にアメリカで考案され、世界的に広く使われています。11問あり、30点満点中22~26点だと軽度の認知症、21点以下だと認知症の疑いがあるとされています。
質問内容は長谷川式簡易知能評価スケールと良く似ていますが、MMSE検査は動作を必要とする問題があります。
どちらともインターネットで質問を見ることが可能ですので、気になる方は一度検索してみると良いでしょう。
テストの際、「認知症のテスト」と本人に言ってしまうと嫌がってしまったり、不安がってしまったりする方が多くいらっしゃいます。出来れば日常生活で上手く聞いたり「脳トレをしよう!」と切り出したり、出来るだけ本人がリラックスした状態で受けられるよう工夫しましょう。
5.認知症と物忘れの違い
加齢による物忘れと認知症はわずかですが違いがあります。自分の家族はどちらに当てはまるかを確認してみましょう。
加齢による物忘れ | 認知症 |
---|---|
一部を忘れる | 情報や体験自体を忘れる |
物忘れの自覚がある | 自覚がない |
日常生活への支障はない | 日常生活に支障がある |
症状は進行せずひどくならない | 2~3年の間に徐々に症状が進行する |
ヒントを出すと思い出す | ヒントを出しても思い出せない |
なくし物を探す | なくした事を人のせいにしたり、言い訳をする |
最近使っていない物の名前が出てこない | 良く使う物の名前が出てこない |
例えば、加齢による物忘れの場合「今日の献立の内容が思い出せない」と一部を忘れますが、認知症の場合は「ご飯を食べたこと自体を忘れる」つまり、経験したこと自体を忘れてしまうのです。
6.まとめ
■認知症を早期発見することで治療の幅が広がる
■症状の進行を遅らせることは可能
■単なる物忘れと片付けてしまい早期発見が遅れることが多い
■家族に認知症の症状がないか普段からチェックをする
■加齢による物忘れは一部を忘れるが、認知症の場合はすべてを忘れてしまう
日常生活の中で「あれ?最近様子が違うな?」「物忘れが急にひどくなってきたな」と思うことが、もしかしたら認知症のサインかもしれません。早めに医師に診てもらうことが、認知症を悪化させない為に必要不可欠なのです。
介護を知るトップへ
サイトトップへ