認知症について気軽に相談することができる認知症カフェが全国に拡大中!
日本には軽度認知症の方を含めると約800万人の認知症患者がいるといわれています。65歳以上の高齢者4人に1人が認知症に悩んでいるということになります。
そんな、認知症患者の増加と共に「認知症カフェ」の設置が全国で広がっているのをご存知ですか?
1.認知症カフェとは?(概要)
平成27年から厚生労働省は「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦力)」という認知症施策を推進しています。新オレンジプランでは、認知症患者の方ができる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることを目指しており、やさしい地域づくりや介護者への支援を行っています。この施策の「介護者の負担軽減」の1つとして認知症カフェの設置が推進されています。
認知症カフェはイギリスの「メモリーカフェ」やオランダの「アルツハイマーカフェ」など、福祉先進国での取り組みを参考にして生まれました。認知症の人たちが社会に積極的に参加する場として大きな役割を担っています。
認知症カフェは「認知症の人やその家族、地域住民や専門家が情報を共有し、理解し合う場」として定義されており、認知症患者本人やご家族はもちろん、地域の方やケアマネージャー、介護関係者などあらゆる方が集まることができます。
病院に行けば医療、介護関係者に相談をすることは出来ますが、少しハードルが高く日常的に相談に行くことはなかなか難しく感じられます。もっと気軽に相談することができる「認知症カフェ」に近年注目が集まっています。
2.どんなところ?
認知症カフェの多くは、お茶を飲みながら日ごろの悩みを相談したり、のんびりくつろぐ場所です。基本的にはプログラムは用意されていないので、認知症の方が自由に自分らしく過ごすことができます。
日によっては脳トレやレクリエーション、認知症についての勉強会を実施しているところもあります。また、料理教室やものづくりが出来るカフェもあります。
- 参加者
- 頻度
- 料金
- 場所
認知症の方から、そのご家族、地域の高齢者など様々な人が集まり、特に制限はありません。介護、医療関係、ケアマネージャーなど認知症に関わる人なら誰でも参加することができます。1回につき10~30名程度の人数が集まります。
月に1~2回定期的に、約2時間程度で開催されています。
(カフェによって開催頻度は様々です。)
0~500円程度
飲み物は1杯につき100円、食事つきの場合は500円程度で参加できるところが多いようです。誰でも気軽に利用できるように比較的安価な値段設定となっています。
介護事業所や地域ボランティアが運営していることが多く、場所は介護施設や公民館で行われるのが一般的です。なかには、自宅を開放しておこなっている場合もあります。
3.認知症カフェの効果
■認知症患者本人
・さまざまな人と出会いつながりを持つことができる
・人と楽しく会話することにより、明るさや自分らしさを取り戻すことができる
・外出するきっかけになる
・レクリエーションや脳トレにより症状の進行を緩和させることができる
・趣味や生きがいを見つけることができる
・同じ悩みを持つ仲間、友人ができる
・認知症ケアの入り口となり、その後のサービスにつながる場となっている
認知症になるとできるだけ家族の目の届く自宅にこもりがちになってしまいます。中には、外出先での失敗経験や周囲に迷惑をかけてしまうという不安から外に出ること自体が嫌になってしまう人もいます。認知症カフェは外出のきっかけの一つになります。
同じ認知症で悩む仲間だと自分の症状や悩み、失敗談も気兼ねなく話すことができるのではないでしょうか?みんなで楽しくおしゃべりしたり、レクリエーションをすることは脳の活性化にもよく、なにより本人の気持ちが明るくなります。楽しみを見つけることで、生き生きと自分らしく毎日の生活を送ることができます。
■ご家族
・同じ悩みを持っている人と出会い共感してもらうことができる
・悩みを気軽に相談することが出来る
・悩んでいるのは自分だけでないと感じることができる
・認知症についての理解を深めることができる
・介護サービス、介助方法など情報交換をすることができる
介護をしている人はどうしても、一人で介護をしているという気持ちに陥ります。また、認知症の相談となると身内にも言いづらく、一人で抱え込んでしまう方が多くいらっしゃいます。認知症カフェでは、同じように認知症の方の介護をしている方が参加されています。介護での悩みを相談したり、共感を得られたりと介護をする人にとっても息抜きの場になるのです。
また、家族が認知症かもしれないと不安に思ったときや認知症に漠然とした不安を抱いているとき、また病院に相談に行くほどでもないが悩んでいるときなど、気軽に立ち寄り相談をすることができます。
地域住民
・認知症を身近に感じ理解を深めることができる
・地域住民同士のつながりができる
・高齢者の孤立を防ぐことができる
地域の高齢者が、認知症に関する知識を深め、その予防方法や介護サービスなど自分が認知症になったときの準備をすることができます。また、認知症カフェで世代や障がいを超えて交流することで、地域ネットワークの強化にも繋がります。
5.まとめ
■認知症に関わるすべての人が参加することができる
■認知症患者本人にとって社会参画の場になっている
■家族にとって心の負担軽減になる
■認知症の理解を深めることができる。
■気軽に立ち寄れる場として提供されている
認知症の方とご家族、両方がくつろぐことのできる「認知症カフェ」。認知症への理解を深めるためにも、コーヒーを飲みにいく感覚で一度訪れてみてはいかがでしょうか?
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