自宅での介護に体力的・精神的に限界を感じ始めた時にできる対策
家族の方が体調を崩してしまい、あまり心の準備も出来ていないままに在宅での介護がスタートしたものの、在宅での介護は24時間365日のサポートが必要になるため、時間が経つにつれ、体力的・精神的に限界を感じてしまう方が多いようです。今回は、そんな状況を少しでも軽くする方法をご紹介します。
1.在宅介護の大変さ
要介護者の状態によってサポートしなければいけない内容は様々ですが、食事・入浴・排泄・床ずれ防止のための体位変換・車いすやベッドへの移動など多岐に渡りますが、大きく分類すると下の3つに分かれるのではないでしょうか?
- 体力的に辛い
- 精神的に辛い
- 時間的に辛い
移動や、姿勢の変更に関するサポートでは、高齢になり体重が減っているとはいえ、支えたり持ち上げたりするには体力を使います。サポートをしている時の姿勢は、前かがみの姿勢が多く腰に負担がかかるため、腰痛に悩む方も非常に多いです。また、数時間おきという一定のサイクルで回ってくる排泄や体位変換は、夜中にもサポートが必要になるため睡眠時間が減少し更に体力が削られるという辛さがあります。
介護する側とされる側の意思疎通が上手くいかなかったり、育児とは違い「成長するまで」という期限がある訳でもなく、一生懸命サポートしても体力が落ちていったり病状が進行していくのを止められないという部分の辛さがあります。
高齢者向けの食事は、味付けや素材や硬さ・大きさにも気を使わないといけないため家族用とは別で作らなければならず、食事・入浴のサポートにも時間がかかってしまう事や、家に一人で置いておけない状態になると、買い物や趣味の外出なども自由にできない辛さがあります。
2.自分でできる対策
独学になりがちですが、日々おこなっているサポートの方法も正しいコツを知ると負担の軽減に繋がります。例えば、ボディメカニクスと呼ばれる正しい身体の使い方を知ると、体位変換などの力仕事で身体が疲れにくくなりますし、腰痛の予防にも繋がります。
介護保険で費用を一部負担してもらってレンタルできる高さ調整機能のある介護ベッドや、車いすへの移乗をサポートするトランスファーボードで持ち上げる頻度を減らし、体力的な負担を減らしたり、ベッドのマットレスを床ずれが出来にくいものに変えると体位変換の間隔を4時間程度あけても大丈夫になるので、睡眠時間が減るのを防止する事が出来ます。
疲労回復の鍵を握るのは血行です。介護していると身体に負担がかかり筋肉が硬くなってしまい血行が悪くなってしまいがちです。1日10分から15分でも良いのでラジオ体操をしたり、ストレッチをしたりして身体のメンテナンスをおこない、筋肉を柔らかくして血行を促進させることで、身体の回復力を高めることが出来ます。また、布団を変えるなどして睡眠環境を整える事で短くなってしまいがちな睡眠の質を高める事が出来ます。
3.高齢者向けサービスを利用する対策
- 通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)
- 配食サービス
どちらも介護保険が適用されるもので、要介護者を一時預かりしてくれるサービスです。通所介護は、3時間~9時間の間で預かってくれるサービスで、短期入所生活介護は1日~30日程度施設で預かってくれるサービスです。介護を他人に委ねる事に抵抗がある方もおられるかもしれませんが、介護には息抜きも必要という考え方が浸透しつつあります。介護サービスを利用して介護をしている人が介護から解放される時間を作ることを、一時的中断、小休止の意味を持つレスパイトという言葉を用いてレスパイト・ケアと呼んでいます。
こちらは介護保険の対象になりませんが、栄養のバランス、高齢者の食べやすさなどを考慮して作られています。1食から注文可能なところが多いので、どうしてもご飯を作ることが出来ない、疲れすぎていて作る気力が湧かないという時は利用してみるのも良いでしょう
4.まとめ
- 在宅での介護は、肉体的、精神的、時間的な辛さがある
- 介護に対する正しい知識や、効率を上げる福祉用具を使えば介護の負担を減らすことができる
- デイサービスや配食サービスなどを利用すれば、介護から解放される時間を作ることができる
福祉用具の導入や、介護サービスの利用は手続きなどが必要なため、「やろう」と思ってから時間がかかってしまうものが多いため、本当に辛くなってからではなく、事前に準備をしておいていつでも使える状態にしておきましょう。
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