健康のために運動しようとしている人、必見!ゆったりとした動きで高齢者でも簡単に取り組める太極拳。様々な研究で健康効果が高いと紹介される理由をご紹介します。
太極拳と聞くとみなさんはどんなイメージを持たれるでしょうか?
おそらく、中国の公園で早朝に行なっている姿が浮かぶのではないでしょうか?
そんな太極拳ですが、近年様々な研究で体にいいと紹介され、ゆったりとした動きから高齢者が行う運動としても推奨されています。
今回は、太極拳とは何なのか、太極拳が体に良い理由、太極拳が活用されている事例などをご紹介させていただきます。
1.公園で早朝にするだけじゃない。太極拳の本当の姿とは
太極拳は、中国で生まれた伝統的な武術のひとつで、実際に戦闘に使用するものです。また、素手以外にも、剣、棍(長い木製の棒)、槍などを使った格闘術もあります。
ゆったりと動いているのは套路(とうろ)といわれる「型」のようなもので、姿勢、身体の運び、呼吸法、技と技の連携などを確認する目的で行われています。
この套路は、見ただけで相手の実力が分かるというくらい大切なものなのですが、近年はこの「型」の部分だけをエクササイズとして扱うものを太極拳と呼ぶ風潮にあります。
2.太極拳の健康効果
それでは、ゆったりとした太極拳の動きが体にとってどんな良い効果があるかをご紹介していきましょう。
- 体が柔らかくなる
- バランスをとる力が上がり転倒防止になる
- 運動効果が高い
- リラックス効果が高い
- 血行が良くなる
ゆっくりと手を伸ばしたり、ねじったりする動きが多く、普通の生活をしていると動かさない範囲まで体を動かすため、身体が柔らかくなります。勢いをつけて行う訳ではないので、関節や筋肉への負担も少なく安心して行えます。
ゆっくりとした足の運びを実現するためにはバランスを取る力が必要になるため、太極拳を続けるとバランスを取る力が向上します。また、上でも書きましたが体の柔軟性も向上するため、転倒防止の効果が高いとも言われています。
ゆっくりとした動きのため運動効果はそんなに高くないと思いがちですが、意外と高い効果があります。
厚生労働省が発表した「健康づくりのための運動指針2006」に定められている運動強度を表す指標に「METs」があります。この指標では、座って安静にしている状態を1METs、1METsの運動を1時間行う事を1エクササイズ(EX)と定めており、1日に3エクササイズ以上の運動を推奨しています。
太極拳は、ストレッチやヨガより上の、早歩き・ゆっくり自転車をこぐのと同等の4METsに位置付けられていますので、1日45分で必要な運動量を超える事ができます。
太極拳は逆腹式呼吸とも表現される独特の呼吸法と、一つひとつの動きをゆっくり行うため、その動きに集中し精神統一のような状態となるため、リラックス効果が非常に高いです。
リラックスにより交感神経と副交感神経のバランスが取れて、緊張により縮んでいた血管も緩んで、血行が良くなります。また、筋肉の伸縮よって筋ポンプ作用、しっかりとした深い呼吸によって呼吸ポンプ作用も働くため、さらに血行がよくなります。
3.太極拳の活用事例や、大規模な取り組み
多くのメリットがある太極拳ですが、実際に活用されている事例や取り組みをいくつか紹介させていただきます。
- 地域をあげた介護予防の取り組み
- アメリカでの研究事例
ラーメンで有名な福島県喜多方市ですが「太極拳のまち」宣言を行い、地域を上げて取り組んでいます。「うつくしまねんりんピック2002太極拳交流大会」の会場が喜多方市になり、選手を歓迎するために始めたものが、地域に根付いたことがきっかけです。「バランス機能の向上」「下半身の筋力強化」などの成果が上がっています。
太極拳は日本・中国などのアジア圏でしか注目されていないと思いきや、アメリカでも注目を集め、研究が行われています。
「帯状疱疹を引き起こすウイルスに対する、ワクチンの働きを助ける効果がある」という研究内容です。太極拳を行ったグループと、単に健康に対する講義を受けたグループでは、25週目には太極拳を行なったグループは、帯状疱疹ウイルスへの免疫レベルが2倍になったと報告されています。
4.まとめ
- 太極拳は血行促進、バランス能力の向上、下半身の強化に効果がある
- 太極拳の運動効果は高く、1日45分で1日の目標に達する
- 太極拳は都市を上げて取り組まれたり、海外でも研究されたりするほど注目を集めている
ゆっくりした動きなので高齢者でも安心して取り組める運動です。特に機材も必要なく、家庭でも気軽にできるため継続もしやすいので、ぜひ一度試してみてください。
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