乾燥がひどい?!高齢者の皮膚トラブルとケアの仕方
寒い時期になると特に気になる肌の乾燥。歳を重ねるごとに皮膚トラブルがひどくなり、気がつくとあちこち掻いてしまう・・・。今回は高齢になると増える皮膚トラブルの原因とそのスキンケア方法をお伝えいたします。
1. 加齢による皮膚の変化(原因)
皮膚は表皮・真皮・脂肪層の3層からできています。
表皮は、皮膚に触れるものから身体を守り、体内の水分の蒸発を防ぐバリアの役割があります。
真皮はコラーゲンやエラスチンと呼ばれるタンパク質により皮膚の弾力とハリを保つ役割があります。
脂肪層は、外部からの刺激を和らげ、断熱・保湿をするクッションの役割があります。
しかし歳を重ねると、どの層も薄くなり皮膚が持っている機能が低下します。
皮膚が薄くなると、弾力や保水性も低下してしまい乾燥しやすくなります。乾燥がひどいと、かゆみやかぶれを起こしてしまいます。
さらに、乾燥だけでなく外部からの軽い摩擦や刺激により傷つきやすくなります。
2.老人性乾皮症とは
高齢者に多いのが「老人性乾皮症(ろうじんせいかんぴしょう)」と呼ばれる肌トラブルです。
加齢に伴い、皮膚がひどく乾燥しかゆみが生じる状態で、肌がぽろぽろと落ちたり、白く粉をふいたりします。足のすねや腰回りの皮膚がざらざらしたり、浅いひび割れが生じたりすることもあります。
空気が乾燥する冬は、65歳以上の方のほとんどが乾燥を訴えており、半数がかゆみを感じているというデータもあります。特に、お風呂に入った後や夜寝る前布団に入っているときなど、身体が温まるとかゆみを感じる人が多くいるようです。かゆみが原因で夜寝付けなかったり、掻きすぎてしまうことで湿疹化してしまったりすることもありますので、正しいケアを行うことが大切です。
3. スキンケア方法
乾燥を防ぐためにも、肌を正しく洗浄・保湿する必要があります。ここでは、洗浄と保湿のポイントをご紹介いたします。
1)洗浄のポイント
・ぬるま湯を使用する
お風呂やシャワーなど、熱いお湯を好む方が多いですが熱いお湯は必要な皮脂まで奪うため、肌を乾燥させる原因となります。ひと肌程度のぬるめのお湯(38~40℃)を使用するようにしましょう。
・石鹸はしっかり泡立てる
石鹸で洗うときはこすらず、泡でなでるように洗いましょう。かゆみがあるからといって、強くこすって洗うと摩擦で皮膚を傷つける恐れがあります。
・しっかり洗い流す
肌に洗浄剤が残っていると、かぶれなどのさらなる皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。しっかりと洗い流し、清潔なタオルで拭きましょう。
・低刺激の石鹸を使用する
最近は、乾燥肌用に皮脂を落としすぎないよう、洗浄力が弱く作られている石鹸もあります。洗った後の乾燥がひどい場合は試してみると良いでしょう。
気を付けたいのが、ベビー用石鹸です。ベビー用石鹸は汗や皮脂の分泌の多い新生児用に作られているため、高齢者に使用すると皮脂量や水分量を減少させる可能性があるので注意しましょう。
2)保湿のポイント
・皮膚の溝にそって、てのひらで延ばす
保湿剤を塗るときは、皮膚の溝にそって塗るようにしましょう。一気に延ばすのではなく皮膚の何か所かにつけてから、てのひら全体を付けて延ばしましょう。
・入浴後の保湿は15分以内に
入浴後は、皮膚が柔らかくなり水分の吸収力や保湿力が高まっています。肌の水分が蒸発する前、少し湿っている状態で保湿剤を塗るのが効果的です。
・かゆみがひどい場合は病院で保湿剤をもらう
薬局でも様々な保湿成分が入った保湿剤がありますが、かゆみや湿疹がひどい場合は、病院でみてもらい保湿剤を処方してもらいましょう。
かゆみがひどい場合は、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服薬による治療も行われます。
4.乾燥を防ぐ方法
スキンケア以外の乾燥を防ぐために気を付けておきたいポイントをご紹介いたします。
・部屋の湿度は60%以上を保つ
・エアコンの風に注意をし、一日中つけないようにする
・小まめに水分を補給する
・適度に身体を動かし、汗をかき肌にうるおいを与える
・衣類はチクチクするかゆみのでるものは避ける
冬になると暖房を使用し室内が乾燥している状態になります。
こたつは、体内から水分を奪うため特に注意が必要です。
高齢者は水分を溜めにくく不足しやすいため、小まめに水分を補給する必要があります。
5. まとめ
1. 歳を重ねると皮膚の機能が低下し皮膚トラブルを起こしやすくなる
2. 乾燥がひどくなると、かゆみを伴うことが多い
3. 洗浄・保湿の正しいスキンケアを行う必要がある
かゆみを我慢することは、なかなか難しいものです。一度掻いてしまうと、さらにかゆくなる、悪循環に陥ります。乾燥の症状が軽いうちに、しっかりとスキンケアと乾燥予防をしておくことが大切です。
かゆみが我慢できないと感じたら、早めに医師に相談し治療するようにしましょう。
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