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様々な保険制度

最低限の生活を保障してくれる生活保護制度のご紹介。生活保護の内容や受けるための条件、手続きの方法について。

生きていると、「家庭の事情や、病気で働くことが難しい」「貰える年金が少なくて生活していけるか不安」など、思わぬところで金銭的な問題に直面することがあるかもしれません。また、あらゆる手を尽くしたけれども、お金が足りなくて生活できずに困っている方もいらっしゃるかもしれません。そんなときに、最低限の生活を保障してくれる生活保護制度というものがあります。今回は生活保護制度について、生活保護の内容や、扶助を受けるための条件、手続きの方法などについてご紹介いたします。

1. 生活保護制度とは

生活保護制度とは、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困り果てている方に対し、その程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助ける制度です。この制度の目的は、再び自立した生活が送れるようにすることであり、この制度を利用することによって、生活が困難な方々が救われ、生活を立て直すことが可能となります。また、この制度は必要に応じて様々な扶助を受けることができます。

2. 生活保護の内容・支給額

生活保護を受けるための要件を満たしていれば、生活を営む上で必要に応じて様々な扶助を受けることができます。

■ 医療扶助(公費負担医療)

医療扶助は怪我や病気で医療サービスが必要なときに受けることが可能です。国民健康保険などの健康保険からは脱退となり、医療機関にかかる場合には、お住まいの地域の福祉事務所に相談し、「医療券」を発行してもらい、その「医療券」で受診します。接骨院(整骨院)や訪問医療マッサージ、鍼灸院などで施術を受ける場合も同じく、福祉事務所に相談し、「施術券」を発行してもらいます。

どの病院でも良いというものではなく、国(市町村)で指定されている病院になりますので、必ず福祉事務所に確認しましょう。医療扶助の対象になるものは、病院での治療費、通院にかかる交通費、治療に必要な材料費(めがねやコルセット等)です。なお、医療機関での自己負担はありません。

■ 介護扶助

介護扶助は、要介護もしくは要支援の認定を受けている方が対象となります。介護保険に加入されている方の場合は、介護保険が優先して適用され、介護保険の自己負担額を介護扶助から負担するため、自己負担はありません。

■ 生活扶助

生活扶助は1種と2種に分類されており、日常生活をしていく上で必要な費用を受けることが可能です。1種は食費などの生活保護を受給している方が生活を送る上で必要な費用で、2種は水道光熱費など、生活保護世帯で共通して使う費用を合算して算出される費用です。

■ 教育扶助

義務教育中の子どもを扶養している方に支給されます。教育扶助の対象になるものは、学校給食費や、修学旅行の費用、学用品の費用などです。

■ 住宅扶助

住宅扶助は必要な時に支給され、主に賃貸アパートや、引越しにかかる敷金礼金、契約更新時の費用、家屋の修繕費などです。生活保護相談員に相談せずに、家屋の修繕など行い、後から申請しても適用外になる恐れがありますので、必ず事前に生活保護相談員に相談しましょう。

■ 出産扶助

出産扶助は生活保護を受けている方が出産する際にかかる費用を支給してくれる扶助です。入院助産制度や、母子家庭専用の制度もあるので、どの制度が適切かどうかは生活保護相談員に相談してみるのがよいでしょう。

■ 生業扶助

生業扶助は就労に必要となる資格などを取得する際にかかる費用を支給してくれる扶助です。義務教育を終了して、専門学校や、大学に進学する場合の費用は、教育扶助ではなく、この生業扶助から支給されます。

■ 葬祭扶助

葬祭扶助は生活保護を受けている世帯の中で亡くなった方がいる場合に適用され、死亡確認の費用や遺体の運搬費用、火葬費用、納骨費用などが当てはまります。

なお生活保護費は物価や地価などの違いから、各地域に「級地」というのが定められており、この級地によって生活保護基準が異なります。級地や生活保護基準と、世帯全体の収入を比べて不足する金額が支給されます。

3. 生活保護を受けるための条件

生活保護は生活する資金がないからといって、無条件で受けられるわけではありません。また生活保護は世帯単位で考えられるため、注意が必要です。生活保護を受けるための要件を事前に理解しておきましょう。

■ 資産の活用

生活保護を受ける前に、換金できる資産を所有している場合は売却し、生活費に充てましょう。資産として主には土地、家屋、不動産、預貯金、生命保険、自動車などが当てはまります。

■ 能力の活用

仕事ができる状態にある場合はその能力に応じた仕事をしましょう。

■ 扶養義務者からの扶養の活用

自分の子どもやご兄弟、ご親戚などから援助をしてもらいましょう。生活保護法で定められている扶養義務者はご本人からみて三親等までとなっています。

■ 他の制度の活用

生活保護以外の制度による給付が見込める場合、そちらを優先して生活費に充てることが必要です。高齢者の方の場合は、年金などがこれに当てはまります。

上記の条件を満たした上で、世帯の収入が厚生労働省の定める基準で計算される最低生活費よりも、下回っている場合に生活保護が適用されます。

4. 生活保護の手続き

生活保護の手続きは、お住まいの市町村によって多少流れが異なる場合があります。ここでは、主な手続きの流れをご紹介します。

① 事前の相談

お住まいの地域を管轄する福祉事務所にて、生活保護制度の説明を受けます。そして生活保護相談員との面談が行われ、家庭の状況などを詳しく尋ねられます。包み隠すことなく、詳しい事情を伝えましょう。

② 申請書の提出

申請前の相談が終わると、生活保護申請書に必要事項を記入し、提出します。提出の際に以下のような添付資料が必要になる場合がありますので、注意が必要です。

  • 収入申告書
  • 資産申告書
  • 給与明細書
  • 地代・家賃証明書
  • 同意書

③ 調査

必要な申請書を提出すると、福祉事務所の担当員がご自宅を訪問し、生活の状況や生活保護を受けるための条件が満たされているかどうかの調査を行います。

④ 決定

調査が終わると、福祉事務所から、生活保護を受けられるかどうかの結果が書面で届きます。通常であれば2週間、遅くても30日以内には決定されます。

5. まとめ

  • 生活保護制度とは資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困り果てている方に対し、その程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助ける制度
  • 生活保護の内容は医療扶助、介護扶助、住宅扶助などがあり、支給額は級地や生活保護基準と、世帯全体の収入を比べて不足する金額が支給される
  • 生活保護は資産や能力などを活用しても、日常生活を送るのが困難な場合に適用される
  • 生活保護の手続きはお住まいの市町村によって多少異なり、お住まいの地域を管轄する福祉事務所の確認が必要

生活が苦しくて悩んでいる方々に、生活保護という制度を知ってもらい、少しでも安定した生活が送れるようになってもらえたらと思います。今回ご紹介した生活保護に関する情報を参考にして頂ければ幸いです。

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