高齢者のみの世帯が増える中、孤独死を防ぐためにも注目される見守りサービス。訪問型・通話型・センサー型など様々なタイプをご紹介します。
今回説明する「見守り」は、利用者の日常生活能力向上のために、調理や、家事を安全に出来るようにサポートする身体介護の「自立生活支援のための見守り的援助」ではなく、高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯で、体調の変化がないか?倒れたりしていないか?を確認するための「見守り」についてです。
現在の見守りサービスを取り巻く状況、なかなか普及しない理由、実際に訪問して安否を確認するもの、電話を使って安否を確認するもの、様々なセンサーやIT技術を使って安否を確認するものなど様々な見守りの種類についてご紹介させていただきます。
1.見守りを取り巻く現状
独居の高齢者が亡くなってからしばらく経ってから発見される孤独死のニュースは後を断ちません。内閣府「平成28年版高齢社会白書」において
65歳以上の高齢者が一人暮らし又は夫婦のみの世帯は、1980年には30%程度だったが、2014年には55%まで増加
と発表されており、今後も孤独死の増加が懸念されています。
また、内閣府の国民生活に関する世論調査(平成28年版)によると「老後は誰とどのように暮らすのがよいか?」という設問に対して、「子どもたちとは別に暮らす」が36%を占め、同居を望まない高齢者も増えており、問題解決の方法として「見守りサービス」が注目を集めています。
2.見守りサービスが、なかなか普及しない理由
高齢者の孤独死の問題は、かなり前から取り上げられていましたが「見守りサービス」の普及の割合は、まだまだ低いままです。普及していかない要因としては次のような理由が挙げられます。
- 市場規模が小さい割にコストがかかる
- 他の訪問系のサービスを頼んでいる
- サービスの料金が高い
見守りや緊急通報サービスの市場規模は約150億円と言われています。これだけ聞くと大きいように感じますが、介護全体の市場規模の約9兆円と比較すると、かなり小さいことが分かります。
また緊急通報を受けるようにすると、24時間体制で人員を配置する必要があり、コストがかかるため事業として成り立つのは難しいと言われています。
介護保険の中には、訪問介護や訪問リハビリ、医療保険では、訪問医療マッサージなど、自宅に訪問してくれる保険対象のサービスがあります。そのため完全な「見守り」では無いですが、「見守り」として頼まなくても良いと考えている人も多いです。
市場規模、コストの問題とも関連しますが、まだまだ費用が高いのが現状です。今後IT技術の進歩により、精度が高くセキュリティもしっかりしたサービスが増えてくれば、導入を検討する人も増えると予想されます。
3.見守りの種類
見守りサービスにはいくつかの種類があります。ここでは、その種類とメリット(特徴)をご説明します。
- 訪問型
- 電話型
- センサー型
週1回や月1回、高齢者の自宅を訪問して、健康状態の確認や身の回りの相談など、話した内容などを高齢者のご家族に報告してくれるサービスです。移動などのコストがかかるため料金が高くなりがちですが、やはり直接会いに来てくれる安心感が大きなメリットです。
週に数回オペレーターが高齢者の自宅に電話をかけ、通話内容を高齢者のご家族に報告してくれるタイプや、緊急通知ボタンを押すだけで緊急通報が出来るタイプなどがあります。訪問型と比べると連絡の頻度が上がるため、自宅で独りきりになり、誰とも話さないという高齢者の不安の解消や、認知症の予防にも期待されています。
従来の方法は「1日○○をしなかったらメールが送信される」などといったサービスが多かったですが、現在は技術の進歩により、ご家族がご両親の様子をパソコンやスマートフォンの画面で確認できる、センサーを駆使して活動状況を把握できるなど、リアルタイムに様々な情報が受け取れるようになっています。
また、非接触でバイタル情報を取得できるものも登場しており、従来の課題であった「何か起きてから発見までのタイムラグ」も改善されつつあります。
4.まとめ
- 高齢者のみの世帯は今後も増加が予測され見守りサービスが注目されている
- 見守りの担当者と話をする事で高齢者の不安の解消と認知症予防にもなる
- IT技術の進歩によりリアルタイムな見守りが可能になりつつある
見守りサービスを会社の福利厚生として取り入れる企業も出てくるなど、今後も変化が予測されるサービスです。情報を集めてどのタイプのサービスが遠くに住む家族に最適かを検討してみてはいかがでしょうか?
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